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半月ぶりの更新になります。
このままでは長くなりそうな予感がしたので、一気に最終ステージまで進むようにしてしまいました! 針山さん! あとはあんたにまかせたぜ!
ちなみに四回生の自分にはのこされた時間があと一か月あまりです!
是非ともそれまでには完成させたいです! みなさん、協力おねがいしまっす!
ではではいってみましょうか!
こころソード013!!
このままでは長くなりそうな予感がしたので、一気に最終ステージまで進むようにしてしまいました! 針山さん! あとはあんたにまかせたぜ!
ちなみに四回生の自分にはのこされた時間があと一か月あまりです!
是非ともそれまでには完成させたいです! みなさん、協力おねがいしまっす!
ではではいってみましょうか!
こころソード013!!
ずいぶん話がややこしくなってきたので、ここで状況確認をしようと思う。
現在の登場人物。
半端な吸血鬼。
クラスメート。
ガス欠吸血鬼。
巫女。
殺し屋×2。
怪異退治×2。
総勢8名。内、人間は6名。まっとうな人間とすればおそらく羽川だけだろう。
そして現状の確認。
場所は廃ビル改め大樹神社。
怪異退治の目的はキスショットの『心渡』、それとキスショットの命。
手元には、宿木先輩から渡された『鈴鳴』
僕達の目的は……
「ま、自分たちの命の安全といったところじゃろうな。我が従僕」
勝手に僕の思考にピリオドを打ってくれたのは、誰あろう僕の影。そこから出てきた金髪の美女だった。振り向いた頃にはニヒルな笑みを浮かべながら、僕の後ろにキスショットは顕現していた。
「怪異も殺すが、関係したものは余さず殺す怪異退治。それも理屈はわからんではない。怪異が人口を介する。人の口に戸はかけられぬ。ならば手っ取り早く口封じ。病原菌への対処法と何も変わらぬ」
どっかりと襖を背にしてキスショットは畳に腰を下ろしていた。
今回が初お目見えの宿木先輩や、まだ二度目の澪標姉妹は突然の事態に驚いているようだ。ここは僕が率先して彼女と会話しなければいけないらしい。
しかしキスショットだが、和室にドレス姿というアンバランスでありながら違和感がない。というより、そんな些細なものは自身の美貌で完全に粉砕している感じだ。なんともキスショットらしい美しさだと感じる元(?)従僕の僕だった。
いやいや、話を戻さないと、
「ていうかキスショット。お前、話を聞いてたんならもっと早くに出てくればよかったじゃないか」
「ふん。昼は眠いのじゃ」
プイッと顔を背けるキスショットだった。
いつの間にそんな可愛い仕草を身に着けやがった……ではなく。
「しかし従僕よ。貴様等がなかなか話を先に進めぬから出てきてやったんじゃ。まったく。主人の手を煩わせおってからに」
「そうなのか?」
「もちろんじゃ。まだ分かっておらぬようじゃから伝えておくが、今回の敵は怪異ではない。人間じゃぞ。それも荒事になれたプロじゃ」
「なんだよ。そんなこと分かってるよ」
「分かっておらぬ。本当に分かっておったなら、こうしてチンタラ作戦会議などしておるはずがない」
「でもキスショット、お前が言ったんじゃないか。ワシを倒すくらいの装備となると集めるのに時間がかかるだろう、って」
「そうじゃな。そして一晩が過ぎた。もう十分とみてよい」
「一晩でだって!?」
僕は驚愕した。
「考えてもみよ。奴等はおぬしの性格を知らぬ。となればワシが逃げる可能性も考慮するじゃろう。ならば一刻も早く行動しようとするのは必然。今ごろはワシらの潜伏場所を探しているところか、もうここを目指しておるやもしれぬ」
真剣な表情で語るキスショット。
とても冗談をいっている雰囲気ではない。
ということは、本当なのか。だとしたら相当やばいんじゃないのかこれは。
「言っておくが従僕よ」
「今度はなんだよ」
恐る恐る聞き返す僕だった。
これは決してパブロフではない。経験に基づく勘だった。
「ここにおる者はみんな気づいておったぞ。とくにあの殺し屋の双子じゃ」
少しも隠そうとしない、むしろ二人に聞こえるようにキスショットは言う。
「同じプロであるこやつらが気づかぬわけがない。ならば何故それを貴様等に教えぬ?」
「何故って」
「それに貴様はまだこやつらがこの町にきた理由すら聞いておらぬじゃろうが」
「ぐっ、それは、確かに……」
聞いていなかった。
宿木先輩の登場やら、もう一本の『心渡』やらですっかりとばしてしまっていた。
視線があつまったことで、自分達に水が向けられたことに気づいた澪標姉妹は、聞かれる前に自分達からその口を開けた。
「僕達は……」
「僕達は……」
「嘘はやめておけよ。戯言を抜かせばただでは済まぬぞ」
牙を見せて凄むキスショット。
数百年の経験を有するその眼力は、僕なんかとは比べ物にならないものだ。
澪標姉妹は吐き出そうとしていた言葉を飲み込むと、観念したのかゆっくりと本当の事情を話し始めた。
「僕達の仕事は、ある物を持ちかえることでした」
「僕等の仕事は、ある物を持ちかえることでした」
「ていうか、それです」
「ていうか、それです」
二人が指差すのは机の上。
宿木先輩が持ち出した『鈴鳴』だった。
「それを本家に持ち帰るように言われていました」
「それを本家に持ち帰るように言われていました」
その話を聞いて、最初に反応を示したのはやはりこの刀に一番関係深い宿木先輩だった。
ぬっと上半身を双子のほうに乗り出し、獅子舞のように後ろ髪を揺らしながらねめつけるようにして言うのだった。
「へえ、そういやそんな話もあったかねえ。どっかの誰かさんに刀を渡すようにって。でも私はノリ気じゃなかったんだが、もし断ったらどうするつもりだったんだい? ぶっ殺してでも奪うつもりだった?」
問いかける宿木先輩だったが、澪標姉妹はすぐに否定した。
「いえ! ちゃんと交渉するつもりでした」
「いえ! ちゃんと交渉するつもりでした」
「僕達は殺し屋だ! 追いはぎやこそ泥じゃない!」
「僕達は殺し屋だ! 追いはぎやこそ泥じゃない!」
「殺し屋なりのプライドってわけ? でも人殺しの話なんか信じろったって無理な話だね。第一、殺し屋がどうしてそんな仕事を任されてるのさ?」
「それは、えっと……」
「それは、えっと……」
口ごもる澪標姉妹。
頭をもたげて、なんだかテンションも一気に落ちている。何か触れられたくないことだったのかもしれない。
しかしここまできて聞かないわけにもいかない。僕達は少しずつでも話す姉妹の言葉に耳を傾けていた。
「実は先日、キツネさ……おかしな人に騙されて、長く仕事からはなれちゃって……」
「実は先日、キツネさ……おかしな人に騙されて、長く仕事からはなれちゃって……」
「その、信用が……」
「その、信用が……」
話を聞いて、宿木先輩が鷹揚に頷いた。
「要するに下手こいてたやすい仕事を回されてるってわけか?」
「……おっしゃるとおりです」
「……おっしゃるとおりです」
かなりしょんぼりした表情で同じ顔が頷いていた。
どこの世界も仕事は厳しいらしい。しかし二人が今回は殺しの依頼で動いていなかったということを聞いただけで、僕は少し気分が軽くなった気がした。たとえそれが、今だけのことであり、これまで彼女達が何をしてきたのだとしても。
澪標姉妹は凹んだ空気のまま、話を続けた。
「それで、あいつらはどうやら僕等がそういったものを輸送するということをどこからか聞きつけて、それを奪いに」
「それで、あいつらはどうやら僕等がそういったものを輸送するということをどこからか聞きつけて、それを奪いに」
「はあん。ってことはまだ持ってない物を奪おうとしてたってわけか? その全然似てない双子の怪異退治ってのもずいぶん間抜けなことだね。ま、持ってないもののせいで殺されかけたあんた等も同じか」
「…………」
「…………」
さらに凹ませている宿木先輩だった。敵に塩を塗りこんでいる。
二人は机に額をおしつけんばかりであった。これがうちの妹とかだったら今ごろ声と拳で反撃の雨あられだっただろうが、どうやらそういうところは二人はまともな女の子のようだ。
しかし、今の会話に、僕はどこかひっかかりを覚えていた。
なんだろう。分からないが、どこかがひっかかった。けれどそれに気づく暇もあたえられないままに話はすすんで行く。
相槌を打ったのは、今まで聞きに徹していたキスショットだった。
「これで事情はわかったな。怪異退治共は獲物を狩ろうとして、その途上で見つけたより美味そうな獲物に狙いを定めなおした。それがワシという最上の怪異であり、ワシに関係した貴様等全員を殺そうとしている。これが現状じゃな」
まるで語り部のように状況を整理していくキスショット。
たしかにそれは“これまでの粗筋”をまとめあげたものだった。さすが何百年も生きているとこういう能力も並ではないらしい。
キスショットが仕切り始めると、事態が急に進み始めていた。
解決に向けてかどうかはわからないけれど、おそらく次の展開に向けて。
「もう不明瞭な点はないな」
僕達を見渡していうと、次にキスショットは宿木先輩の方を見て、
「よし、では次は今後の方針じゃ」
と言った。
その言葉の意味は、僕にも分かった。
宿木先輩は狐憑きだ。
猿が憑いた神原が怪力を発揮したように、蟹に憑かれた戦場ヶ原が重さをなくしたように、宿木先輩は狐に憑かれた事で、未来を占うことができる。そして過去の情報が集め終わったならば、次は今後の情報、未来の情報というわけだろう。
当然本人である宿木先輩にさっせられないはずもなく。
「はは。天下の大吸血鬼様直々のご氏名とはねえ。私も偉くなったもんだ! いいよ。占わせてもらおう。というより、元よりそのつもりだった!」
巫女服の胸を張りながら大声で言う宿木先輩。
中学時代のなごりで、僕にはとても頼りがいのある仕草にみえた。
宿木先輩は簡潔にいった。
「学校だ」
「学校、ですか?」
宿木先輩はうなずく。
「ああ、それもお前が通っている私立直江立高校だ。あいつらは今あそこにいる」
出てきたのは予想だにしなかった名前だった。
これには僕も驚いた。
しかしそんな僕の反応さえも許さない調子で、宿木先輩は続けた。
「行くならいますぐ行ったほうがいいな。たぶんそこでさっき言っていた準備ってのをしていたんだろうな。詳しい場所なんかはメモにしてあとで渡そう。それに今日は日曜日だ。確かあそこは部活禁止のはずだろう。無駄な被害を考えればケリをつけるには今日しかない」
言い切ると宿木先輩はまた視線を動かす。
先にいたのは羽川だった。
「おいそこの巨乳ちゃん」
「わっ、だっ、誰が巨乳ちゃんですかっ!」
「じゃあメガネッ娘ちゃんだ。君はここに残れ」
「嫌です」
即座に突っぱねる羽川。これは僕も予想できた。
しかし宿木先輩は折れない。
「普通の人間でしかない君が行くのは危険だ。つかまって人質にされて利用されるのがオチだ。危険すぎる」
「いいえ。私には阿良々木君を巻き込んでしまった責任があります。だから何もできなくても最後まで一緒にいます」
「死ぬぞ?」
「死にません! ね、阿良々木君」
「あ、ああもちろんだ羽川! 羽川には指一本触れさせるもんか!」
突然振られたので勢いで言ってしまっていた。
いや、いーんだよ! 羽川は恩人なんだから!
セリフが対恋人用っぽいものでもいいんだよ! 多分! きっと……
「そうか。わかった。しかたない……」
僕と羽川の意思の強さが伝わったのか、声を弱める宿木先輩だった。
「ならばメガネッ娘ちゃん。君には巫女がとっておきのアイテムを授けよう。手を出しなさい」
「?……はい」
最初は疑問げだったが、羽川は言われたとおりに手を差し出す。
出されたのは右手だったが、宿木先輩はそこに小さな数珠をつけた。ちょうど手首をまくくらいのサイズの物で、ブレスレットのようなつくりをしている。ゴム紐でとめていたらしく、羽川の手首にピッタリおさまった。
「これが、アイテムですか?」
僕が訊いた。
アイテムといえば、忍野が以前くれた蛇よけの護符なんかまさにそれだった。あれに類するものだろうか。
考えてみれば、生まれつき怪異とのかかわりを持っていた宿木先輩だ。立ち位置は僕達よりも怪異の専門家だった忍野に近いところがあるのかもしれない。だとすれば彼女の元からそういった品物がでてくるのも不思議ではない。
「そうだ。これはちょっとした力がこめられている数珠でな」
「は、はい」
粛々と語る宿木先輩。
羽川も緊張の面持ちで聞いていた。
「普通の人間がこの数珠をつけると」
「つけると」
「気絶する」
「は……―――」
バタリ。
羽川は机に額を打つような角度で倒れこんだ。ぎりぎり肩を持って抱きとめたが、本当に意識を失っている。ちょっとやそっとでは目を覚ましそうな気配ではない。
僕は宿木先輩を見た。
「先輩、これって……」
「適切な処置だ。メガネっ娘ちゃんはここで私が保護しておく。いつぞやの結界を発動させておくからな。その間に怪異退治共はなんとかしてくれよ。今じゃあ私もすっかり関係者だからな」
「は、……はい」
すごい強引な手だった。
しかし、やったこと事態は間違いではない。
あんなことを言ったすぐあとでは格好もつかないが、僕も羽川はなんとかして離脱させられないかと考えていたのは確かだった。となればこの展開も、悪いものではないのかもしれない。
あとできっと死ぬほど怒られるんだろう。それは確実だ。
でも、羽川が傷つくような事態の方がもっと嫌だった。
だから、僕は素直に宿木先輩を頼ることにした。
「……わかりました。羽川のことはお任せします」
「ああ、巨乳の処理は私にまかせておけ」
「いや間違ってるよ!」
「思う存分、任せておけ!」
「何を思う存分する気なんですか!?」
「大船にのった気分になってやる!」
「アンタがか!? 羽川に変なプレイをしたら僕が許さないぞ!」
ただの冗談なんだろうけど!
まさかそんなことするはずないと思うけど!
不安なんだよなあ! この人の場合!?
でも、これ以上何かを言っている暇もなく、僕と、その影に潜んだキスショット、そして澪標姉妹はそろって大樹神社をでることになったのだった。
まさか自分の学校がまたもや戦場になるなんて、春休みの時点では考えようもない事態だった。
春の出来事でも思い出しているのか、始終楽しげな顔でキスショットは影の内から僕の背中を眺めていた。
013,5
ここからは……否。ここだけは私が語り部を務めなければならない。
なぜならここには阿良々木はいない。同時にここは私の世界だ。ならば私以外がその役を任ずること事態、本来おかしな話なのだから。
大樹神社の境内。
石畳の、少しうらぶれてはいるが涼やかな場所で、ちょうど阿良々木たちを見送ったところだった。蝉の鳴き声が山中に響いている。照りつける日差しは、己の髪の多さをいとうのには十分なものだった。
「行ったみたいだな」
「向かったみたいですわね」
声に気づいて振り向くと、神社の屋根の上に二つの影が立っていた。
ジャラジャラと暴力的なシルバーアクセサリを体中に飾った黒衣の少女と、フリルとレースのたくさんついたドレス姿の白衣の少女。
ブラック・サリナとホワイト・リリィであった。
二人は同様に音もなく屋根から下りると、私のほうに近づいてきた。
「お前等、神社の屋根を足蹴にするなど。ばちがあたるぞ」
「へえ、そいつは悪かったな」
「まあ、御免あそばせ」
概観こそ違えど、軽薄そうなところは変わらないやつらだった。
こんな奴等にずっと生殺与奪の権を握られていたかと思うと虫唾が走る。
黒い少女はニタニタと笑い、白い少女はクスクスと微笑みながら左右非対称に並んでいた。その非現実的な風景が、嫌にこの神社にマッチしていて、私は居心地の悪さすら覚えていた。
「約束だ。私はお前達の指示に従った。私と、あの女の子のことは忘れてもらおう」
「まったく聞いたかよリリィ。保身にはしって自分を信頼した後輩を売るなんて外道極まりないなあ」
「聞かれましたかサリナ。わが身可愛さにご自分を頼りにしてこられた後輩を裏切るなんて恐ろしいことですね」
「自分達がやらせておいて、いけしゃあしゃあと」
はらわたが煮えくり返るとはこのことだった。
しかし従わないわけには行かなかった。
命惜しさではなく、私が視たのはそういう未来だったのだから。そうする必要があった。
それにわずかだが安心すべき要素もある。
あの吸血鬼は、きっと気づいていた。
私の嘘にも。あの殺し屋達の嘘にも。こいつ等の存在も。この世界についても。
そして何より、私はあの後輩を信じている。阿良々木ならば、きっと切り抜けられると。
たとえこの後、私にどんな未来が待っていようが。
阿良々木。お前ならばきっと大丈夫だ。
だから―――私は、目の前の左右対称の双子を、まっすぐに見つめた。
「おっと、怒るなよ。約束は守るからよ」
「お気をお沈めになって。約束は守りますわ」
「はいよ。確かに俺はアンタのことを忘れたぜ。もうすっかり記憶から消去しちまった」
「はい。もうあなたのことは忘れてしまいました。記憶の片隅にも残ってはいません」
「……そういやリリィ」
「……そういえばサリナ」
「こんなところに狐憑きの女がいるぜ」
「こんなところに狐憑きの女がいますわ」
「今初めて知って驚きだけど、せっかくだから殺していくか」
「今気づいたばかりで驚きましたが、ついでに殺していきますか」
「じゃあよ―――
「それでは―――
左右別々に死ぬがいい。
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