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挿絵かけませんでした!! すみません!
などと謝罪ははじめに済ませておいて
始めましょうか第十話!
二組の双子の登場! 真なる吸血鬼の復活! そして妖刀『心渡』!
キーパーソンはでそろった!
物語は次の段階に移行する!
ついにあのキャラも出しちゃうよ!
『こころソード010』!!
などと謝罪ははじめに済ませておいて
始めましょうか第十話!
二組の双子の登場! 真なる吸血鬼の復活! そして妖刀『心渡』!
キーパーソンはでそろった!
物語は次の段階に移行する!
ついにあのキャラも出しちゃうよ!
『こころソード010』!!
スキル・章替えワープ。
午後の空気が満ちる純和風八畳の客間にて、重厚な木製机を囲む形で四人が座っていた。
阿良々木暦。
次に羽川翼。
キスショットは僕の影の中に潜んでいるので数からは省くとして、あと二人。
並ぶ僕と羽川の反対に座っている左右対称の二人の少女。
彼女達は、同じ声で続けて言った。
「澪標深空だ、……です」
「澪標高海だ、……です」
言い直していた。
ていうか、このしゃべり方が地なのか。だとしたらある意味神原を上回るキャラクターだった。
双子キャラといえば、僕の妹達を連想しそうなものだけど(あいつらは双子ではないが)ここまで何もかもが完璧に一致する双子というも、かなり稀な気がする。たとえ遺伝子が同じでも、異なる環境や食生活を経れば自然と体のつくりとは変わってくるからだ。
一晩がたち、二人ともちゃんと話ができる程度には回復したようだった。
羽川がコンビニで購入してきたおそろいの白のシャツと黒のハーフパンツを着ている。メガネばかりは始めからのものとはいえ、やはりおそろいのデザインだった。背筋をしゃんと伸ばして、まっすぐに正座をしていた。姿勢がいい。
16,7といったところだろうか。本人達に聞いたわけではないが、僕や羽川よりは下だろうという推測だ。整った面貌は基本的に無表情だが、真の無表情の権化と日々付き合っている僕には、彼女達のそれが単に感情のヴァリエーションが少ないだけであることは容易に見て取れていた。
ともあれ。
澪標姉妹は頭を下げていた。
「助けてもらって、ありがとう……ございました」
「助けてもらって、ありがとう……ございました」
「お世話に、なりました」
「お世話に、なりました」
深々と。
机に額がつくほどに深々と、二人は頭を下げている。
礼儀正しい。今時の若者には珍しい態度だった。
「そんなかしこまってくれなくてもいいって……その、深空ちゃん高海ちゃん?」
「うるさい黙れお前には言っていない」
「うるさい黙れお前には言っていない」
目にも留まらぬ速度で頭を上げた双子に、殺気のこもった目を向けられる僕だった。
もしかしてちゃん付けがいけなかったのだろうか。苗字で呼べば被ってしまうし、さん付けも何か恥ずかしかった故の選択だったのだが(加えて自分の妹を呼ぶときの習慣を引っ張ってしまった結果だったのは言うまでもない)。
「だれが深空ちゃんだこの野郎」
「だれが高海ちゃんだこの野郎」
「阿良々木の分際で生意気だ」
「阿良々木の分際で生意気だ」
「“ら”が二つなんてもっていない。お前なんか阿々木で十分だ」
「“ら”が二つなんてもっていない。お前なんか阿々木で十分だ」
「そっちの“良”を抜くのかよ! ……そっちの“良”を抜くのかよ!」
二度言っちゃったよ!
そのせいで「そっちの“良”を抜いたら、結果的に両方とも“ら”はなくなるよ! ハッ! 二度獲ったのか!?」と突っ込みを加えるタイミングを逃してしまっていた。
なんか違和感でちゃうんだよなあ、このしゃべり方にツッコミをいれるの。
ツッコミ担当としての新領域を開拓すべき時なのかもしれない。
なんてことを考えていると、もう一方から声が上がった。具体的に言うと僕の隣。
羽川翼だった。
「まあ、呼び名はともあれ、そろそろ本題に入りたいんだけどさ」
「ハイッ! すみませんでした羽川さんっ」
「ハイッ! すみませんでした羽川さんっ」
「本当にさ、そんなにかしこまらなくていいよ。当然のことをしただけなんだから?」
「いえ、僕……私その、お世話になりました」
「いえ、僕……私その、お世話になりました」
またも深々と頭を下げる澪標姉妹だった。
さっきからずっと思ってることなんだけど、僕と反応がずいぶん違っている。
萎縮しているというか。
恐縮しているというか。
恐怖している感じだった。
なにはともあれ、羽川の考えには僕も大いに賛同するところだった。
「そうだよな。いい加減話を進めないと、話にならないもんな」
「お前は黙ってろ」
「お前は黙ってろ」
「黙らないと殺すぞ」
「黙らないと殺すぞ」
殺す。
必ず殺す。
左右同時に二回殺――と言おうとしたところで、制止が入った。
羽川だった。
「こら二人ともっ。殺すなんてホイホイ言っちゃダメでしょー」
いつか僕や八九寺あたりが言われたような、それはなんとも二人の緊張感を打ち壊す一言だった。
しかしその威力たるや目を見張るものがあった。
「は、はい。羽川さん。……自粛します」
「は、はい。羽川さん。……自粛します」
左右同時に二回反省します。
などと。
きめ台詞ごといろんなものをたたき折られている澪標姉妹だった。形無しである。
どうやら二人の中では、羽川→澪標姉妹→僕という順序付けがされているらしかった。
こんな状況になっているのは複雑ではないが奇怪な経緯があったからだった。
話せば短い。
あの廃墟で二人が目を覚ましたのは明け方前といったところだった(その頃には羽川は一度家に帰り、僕は家のほうに友人宅にて勉強会をするという連絡を済ませていた。羽川にはもう来るなといったのだけど、「私が阿良々木君を関わらせたから」といって聞かなかったのだ)。
とにかくそこからが大変で、まず混乱した二人を静めるのに、僕は二度三度殺されかける目にあった。しかしすごいのはその後だ。なんと羽川が澪標姉妹を説き伏せてしまったのである。僕から見れば暴力の権化というより暴力そのもののような二人を、言葉だけで無力化してしまったのだ。本物の中の本物、委員長の中の委員長の名は伊達じゃなかった。説教も更正も羽川翼にはお手の物だったのである。
その上に。
羽川は僕には同じに見える二人の少女の右側に向かい、尋ねる。
「わかった? 深空ちゃん」
「ひぃっ。……わかりました」
羽川は僕には同じに見える二人の少女の左側に向かい、尋ねる。
「わかった? 高海ちゃん」
「ひぃっ。……わかりました」
二人は縮こまっている上に、なんだか震えていた。
かわいそうな情景だった。
どうやらこの姉妹、その酷似を極めたような容姿のせいなのか(重ねて言うが僕には同じ人間が二人いるようにしか見えていない)、人に自分たちがどっちがどっちであるかを見抜かれるのが怖いらしい。不思議な弱点だった。さっきからずっとこの調子で、すっかり羽川の手玉なのである。
「なあ羽川」
ボソボソと耳打ちする僕。
「この二人、どうやって見分けてるんだ?」
気になっていた疑問を投げかけていた。
すると羽川も同じように耳打ちで返答してくれる。
「ごめん。口で説明できるような分かりやすい違いじゃないの。すっごくよく見ないと気づけないわずかな差異なんだ」
「そ、そうなのか」
羽川が言うのだからそうなのだろう。
そして羽川が、すっごくよく見ないと気づけないとか、わずかな差異とか言うということは、つまり僕程度の観察力では10年見続けても発見できない違いであることは明白だった。
さらに同じ体勢のまま、羽川が耳打ちを続けてきた。
「あとね阿良々木君。たぶんこれくらいの内緒話だったら、全部二人には聞こえちゃってると思うよ」
と。
すぐさま二人を見ると、厳しい視線をこっちに(ていうか僕に)向けていた。
身体能力も凄かったが、どうやら五感のほうも相当のものらしい。
そしてそれに感づいている羽川の凄さも、やはり僕には測りえないものなのだった。
しかしなんにせよ、このままでは本当に話が進まない。
話は進まないと、終わらないんだ。
背筋をしゃんとのばして座る深空ちゃん。
背筋をしゃんとのばして座る高海ちゃん。
二人は殺し屋。
二人の殺し屋。
双子の殺し屋。
僕は僕自身とキスショットの身を守るために、まずは彼女達から話を聞かなければならない。
その主題は三つ。
深空ちゃんと高海ちゃんが、この町に来た理由。
怪異退治の専門家、ブラック・サリナとホワイト・リリィのこと。
そして『心渡』のことを。
「それらのことについては、きっちりかっちりマルっと私から話させてもらおう」
言葉と共に襖が開き、そこから一人の人物が現れた。
手にした盆には人数分のお茶とお茶請け。もてなしの心というやつだった。
盆を置き、彼女はどっかりと上座に座った。
やはり正座で。
この中で一番に高い座高で。
腰まで届く極太ポニーティルを鈴付きの紐で縛った巫女服の女性。
今朝、落ち着きを取り戻した深空ちゃんと高海ちゃんが場所を変えるべきと提案したその行き先だった、僕らの町で唯一の大きな神社、大樹神社の巫女さん兼神主にして、阿良々木暦の中学時代の先輩――
狐憑き。
宿木都子の再登場だった。
午後の空気が満ちる純和風八畳の客間にて、重厚な木製机を囲む形で四人が座っていた。
阿良々木暦。
次に羽川翼。
キスショットは僕の影の中に潜んでいるので数からは省くとして、あと二人。
並ぶ僕と羽川の反対に座っている左右対称の二人の少女。
彼女達は、同じ声で続けて言った。
「澪標深空だ、……です」
「澪標高海だ、……です」
言い直していた。
ていうか、このしゃべり方が地なのか。だとしたらある意味神原を上回るキャラクターだった。
双子キャラといえば、僕の妹達を連想しそうなものだけど(あいつらは双子ではないが)ここまで何もかもが完璧に一致する双子というも、かなり稀な気がする。たとえ遺伝子が同じでも、異なる環境や食生活を経れば自然と体のつくりとは変わってくるからだ。
一晩がたち、二人ともちゃんと話ができる程度には回復したようだった。
羽川がコンビニで購入してきたおそろいの白のシャツと黒のハーフパンツを着ている。メガネばかりは始めからのものとはいえ、やはりおそろいのデザインだった。背筋をしゃんと伸ばして、まっすぐに正座をしていた。姿勢がいい。
16,7といったところだろうか。本人達に聞いたわけではないが、僕や羽川よりは下だろうという推測だ。整った面貌は基本的に無表情だが、真の無表情の権化と日々付き合っている僕には、彼女達のそれが単に感情のヴァリエーションが少ないだけであることは容易に見て取れていた。
ともあれ。
澪標姉妹は頭を下げていた。
「助けてもらって、ありがとう……ございました」
「助けてもらって、ありがとう……ございました」
「お世話に、なりました」
「お世話に、なりました」
深々と。
机に額がつくほどに深々と、二人は頭を下げている。
礼儀正しい。今時の若者には珍しい態度だった。
「そんなかしこまってくれなくてもいいって……その、深空ちゃん高海ちゃん?」
「うるさい黙れお前には言っていない」
「うるさい黙れお前には言っていない」
目にも留まらぬ速度で頭を上げた双子に、殺気のこもった目を向けられる僕だった。
もしかしてちゃん付けがいけなかったのだろうか。苗字で呼べば被ってしまうし、さん付けも何か恥ずかしかった故の選択だったのだが(加えて自分の妹を呼ぶときの習慣を引っ張ってしまった結果だったのは言うまでもない)。
「だれが深空ちゃんだこの野郎」
「だれが高海ちゃんだこの野郎」
「阿良々木の分際で生意気だ」
「阿良々木の分際で生意気だ」
「“ら”が二つなんてもっていない。お前なんか阿々木で十分だ」
「“ら”が二つなんてもっていない。お前なんか阿々木で十分だ」
「そっちの“良”を抜くのかよ! ……そっちの“良”を抜くのかよ!」
二度言っちゃったよ!
そのせいで「そっちの“良”を抜いたら、結果的に両方とも“ら”はなくなるよ! ハッ! 二度獲ったのか!?」と突っ込みを加えるタイミングを逃してしまっていた。
なんか違和感でちゃうんだよなあ、このしゃべり方にツッコミをいれるの。
ツッコミ担当としての新領域を開拓すべき時なのかもしれない。
なんてことを考えていると、もう一方から声が上がった。具体的に言うと僕の隣。
羽川翼だった。
「まあ、呼び名はともあれ、そろそろ本題に入りたいんだけどさ」
「ハイッ! すみませんでした羽川さんっ」
「ハイッ! すみませんでした羽川さんっ」
「本当にさ、そんなにかしこまらなくていいよ。当然のことをしただけなんだから?」
「いえ、僕……私その、お世話になりました」
「いえ、僕……私その、お世話になりました」
またも深々と頭を下げる澪標姉妹だった。
さっきからずっと思ってることなんだけど、僕と反応がずいぶん違っている。
萎縮しているというか。
恐縮しているというか。
恐怖している感じだった。
なにはともあれ、羽川の考えには僕も大いに賛同するところだった。
「そうだよな。いい加減話を進めないと、話にならないもんな」
「お前は黙ってろ」
「お前は黙ってろ」
「黙らないと殺すぞ」
「黙らないと殺すぞ」
殺す。
必ず殺す。
左右同時に二回殺――と言おうとしたところで、制止が入った。
羽川だった。
「こら二人ともっ。殺すなんてホイホイ言っちゃダメでしょー」
いつか僕や八九寺あたりが言われたような、それはなんとも二人の緊張感を打ち壊す一言だった。
しかしその威力たるや目を見張るものがあった。
「は、はい。羽川さん。……自粛します」
「は、はい。羽川さん。……自粛します」
左右同時に二回反省します。
などと。
きめ台詞ごといろんなものをたたき折られている澪標姉妹だった。形無しである。
どうやら二人の中では、羽川→澪標姉妹→僕という順序付けがされているらしかった。
こんな状況になっているのは複雑ではないが奇怪な経緯があったからだった。
話せば短い。
あの廃墟で二人が目を覚ましたのは明け方前といったところだった(その頃には羽川は一度家に帰り、僕は家のほうに友人宅にて勉強会をするという連絡を済ませていた。羽川にはもう来るなといったのだけど、「私が阿良々木君を関わらせたから」といって聞かなかったのだ)。
とにかくそこからが大変で、まず混乱した二人を静めるのに、僕は二度三度殺されかける目にあった。しかしすごいのはその後だ。なんと羽川が澪標姉妹を説き伏せてしまったのである。僕から見れば暴力の権化というより暴力そのもののような二人を、言葉だけで無力化してしまったのだ。本物の中の本物、委員長の中の委員長の名は伊達じゃなかった。説教も更正も羽川翼にはお手の物だったのである。
その上に。
羽川は僕には同じに見える二人の少女の右側に向かい、尋ねる。
「わかった? 深空ちゃん」
「ひぃっ。……わかりました」
羽川は僕には同じに見える二人の少女の左側に向かい、尋ねる。
「わかった? 高海ちゃん」
「ひぃっ。……わかりました」
二人は縮こまっている上に、なんだか震えていた。
かわいそうな情景だった。
どうやらこの姉妹、その酷似を極めたような容姿のせいなのか(重ねて言うが僕には同じ人間が二人いるようにしか見えていない)、人に自分たちがどっちがどっちであるかを見抜かれるのが怖いらしい。不思議な弱点だった。さっきからずっとこの調子で、すっかり羽川の手玉なのである。
「なあ羽川」
ボソボソと耳打ちする僕。
「この二人、どうやって見分けてるんだ?」
気になっていた疑問を投げかけていた。
すると羽川も同じように耳打ちで返答してくれる。
「ごめん。口で説明できるような分かりやすい違いじゃないの。すっごくよく見ないと気づけないわずかな差異なんだ」
「そ、そうなのか」
羽川が言うのだからそうなのだろう。
そして羽川が、すっごくよく見ないと気づけないとか、わずかな差異とか言うということは、つまり僕程度の観察力では10年見続けても発見できない違いであることは明白だった。
さらに同じ体勢のまま、羽川が耳打ちを続けてきた。
「あとね阿良々木君。たぶんこれくらいの内緒話だったら、全部二人には聞こえちゃってると思うよ」
と。
すぐさま二人を見ると、厳しい視線をこっちに(ていうか僕に)向けていた。
身体能力も凄かったが、どうやら五感のほうも相当のものらしい。
そしてそれに感づいている羽川の凄さも、やはり僕には測りえないものなのだった。
しかしなんにせよ、このままでは本当に話が進まない。
話は進まないと、終わらないんだ。
背筋をしゃんとのばして座る深空ちゃん。
背筋をしゃんとのばして座る高海ちゃん。
二人は殺し屋。
二人の殺し屋。
双子の殺し屋。
僕は僕自身とキスショットの身を守るために、まずは彼女達から話を聞かなければならない。
その主題は三つ。
深空ちゃんと高海ちゃんが、この町に来た理由。
怪異退治の専門家、ブラック・サリナとホワイト・リリィのこと。
そして『心渡』のことを。
「それらのことについては、きっちりかっちりマルっと私から話させてもらおう」
言葉と共に襖が開き、そこから一人の人物が現れた。
手にした盆には人数分のお茶とお茶請け。もてなしの心というやつだった。
盆を置き、彼女はどっかりと上座に座った。
やはり正座で。
この中で一番に高い座高で。
腰まで届く極太ポニーティルを鈴付きの紐で縛った巫女服の女性。
今朝、落ち着きを取り戻した深空ちゃんと高海ちゃんが場所を変えるべきと提案したその行き先だった、僕らの町で唯一の大きな神社、大樹神社の巫女さん兼神主にして、阿良々木暦の中学時代の先輩――
狐憑き。
宿木都子の再登場だった。
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