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半月と少々時間が空きすぎてしまったので、ぼくが時間稼ぎのつもりで書きました。次回、なちょさんからになります。よろしくお願いします!
クビキリ+第11話っ!
≪ここまでの粗筋~
園山朱音と意味深な会話をした遥奈は、約束していたとおりに玖渚といーちゃんと合流し、伊吹かなみの部屋を観察する≫
『二段目:凪夏儀』
伊吹かなみの部屋を観察した私たち一行は、一度、玖渚さんの部屋に戻った。
部屋に着き、事件の話をはじめるのかと思ったら、いーちゃんと玖渚さんが、やおらお風呂の話をはじめた。そして私がなにも口をはさむ間もないうちに、二人がちょっと口論して、最終的には、玖渚さんがいーちゃんに服を脱がされて、タオルで縛られて、浴槽に放り込まれた。
「…………」
シュールな光景だった。
クビキリ+第11話っ!
≪ここまでの粗筋~
園山朱音と意味深な会話をした遥奈は、約束していたとおりに玖渚といーちゃんと合流し、伊吹かなみの部屋を観察する≫
『二段目:凪夏儀』
伊吹かなみの部屋を観察した私たち一行は、一度、玖渚さんの部屋に戻った。
部屋に着き、事件の話をはじめるのかと思ったら、いーちゃんと玖渚さんが、やおらお風呂の話をはじめた。そして私がなにも口をはさむ間もないうちに、二人がちょっと口論して、最終的には、玖渚さんがいーちゃんに服を脱がされて、タオルで縛られて、浴槽に放り込まれた。
「…………」
シュールな光景だった。
まだ気分が悪かったから何も言えずに傍観していたが、こんな情景、たとえ元気なときでも反応に困ってしまう。
その後、いーちゃんは少し出てくると言って部屋を出て行き、入れ替わりのタイミングで島のメイドの一人、千賀ひかりさんが入室してきた。
なんだか私をほったらかしにしたまま事態が進んでいき、気づくと私はひかりさんと向かい合って座っていた。
座っているのは部屋に備え付けのソファー。
ひかりさんが、心配そうな顔で私を見ている。
「あの、永久咲さん。具合、よろしくないんですか?」
「ああ……はい。でも、大丈夫です。初めてのことじゃないし、時間を置いたら直ると思いますから」
「持病、かなにかでしょうか?」
「まあ……そんなものです」
言ってから私は頭をぐったりとうなだれる。
それきりだまり、ひかりさんも気を遣ってか口を開けることはなかった。
沈黙が十分ほど流れ、
「うにー! お風呂上がったよ~。ひかりちゃんいるんでしょ? タオル取って取ってー」
という陽気な声で沈黙の時間は終わった。
ひかりさんが動き、少ししてからバスローブを着た玖渚さんとともに戻ってきた。
そして、玖渚さんがベッドに座り、ひかりさんは私の隣に座る。
そのひかりさんの動きから、先に玖渚さんにここにすわるよう指示されているのだな、ということが伺える。
お風呂上りの玖渚さんは機嫌が良さそうだ。髪の色も、なんだかさっきと変わっているように思う。濡れているからだろうか。
「さてっと!」
バフン、と玖渚さんがベッドシーツを両手で叩く。
「話をしようかな。せっかく、いーちゃんもいないし、女の子ばっかりだしねー」
「話、ですか?」
ひかりさんが訊く。
「うに。そうだよーん。枕投げとかもしてみたいではあるけど、ぼく様ちゃんは、昔ふとん類に押しつぶされて行方不明になったこととかあるからさ。だからお話をしよう!」
謎のストーリーが紹介された。
まあそこはおいといてもいい。たしかに話したいことなら私にもあった。
しかし、私より先んじて、ひかりさんが口を開く。
「あの、じゃあ、今回の事件のことなのですが……」
それは私の聞きたいことのひとつでもあった。きっとひかりさんは、この話を聞くためにここに来たのだろう。
けれど玖渚さんは首を横に振った。
「ごめんね、ひかりちゃん。その話はいーちゃんが戻ってからしようよ。きっと話すことになるだろうからさ」
「あ、そうですね。すみません」
「それじゃあ、私からもいいですか?」
「なにかな? 遥奈ちゃん」
ここで二人の視線が私に向いた。
「玖渚さんと、いーちゃんって、どういう関係なんですか?」
と、私が訊くと、ひかりさんも玖渚さんの方を興味ありそうな顔で向いた。
「うにー。まっ、友達かなー」
「恋人じゃ、ないんですか?」
今度はひかりさんが訊く。
「ぼく様ちゃんは恋人でもいいんだけどねー。でもいーちゃんは否定するんだよねー」
玖渚さんは不満そうに言った。
でも友達同士だったら、服を脱がせて、縛って、風呂に叩き込んでいるのは、尋常な友人関係とはいえない気がする。けれど私はそのことは口にしない。どうやらこれは触らぬ神に祟り無しなのかもしれない。
しかし意外な答えではあった。てっきり恋人同士だよー、と返事が返ってくるものと思っていたのだ。私にはそれくらいに二人が中良さそうに見えていた。
ひかりさんも釈然としていない顔になっている。
すると今度は玖渚さんの笑顔が、さっきよりにやけたものに変わる。
その表情から察することができる未来を思いついて、私は身構えた。
「で、ひかりちゃんはどうなのかにゃー。恋人はいるの?」
「えっ、えっ、えっ!? いえ、私は別に……」
いきなり話題を振られたひかりさんが、目に見えて動揺した。
それは容姿にぴったりな、まるで中学生の女の子のような反応だった。
「ふーん。怪しいぞ~」
玖渚さんがじりじりと近づいていき、逃げ場もないのにひかりさんは逃げ腰になりかけていた。
そこで、ひかりさんは突然なにかを思いついたかのように笑顔になると、私のほうを向き直った。
これはヤバイ。
「あっ、じゃ、じゃあ永久咲さんはどうなんですかっ? お年頃でしょう」
と、今度は私に振ってきた。
「わ、っわわ私はー」
キラーパスに動揺しながらも、頭の中には提督の顔が浮かんでいた。
渋めの顔にかけられたサングラスが光を反射する姿。
「いるんじゃないんですかー。誰なんです? 昔の学校の男子生徒とか」
ひかりさん、おもいっきり加害者の側に入っていた。
「えー、ちっ、違いますよー」
「じゃーだれなのー?」
玖渚さんも迫ってくる。
しかし私として、自分が少しオヤジ趣味であることをカミングアウトすることはなるべく避けたい事態だ。
問題は不幸にも私は嘘が苦手なのだった。
言い逃れようにも、いい案が思い浮かばない。
「どうなのー?」
「どうなんですー?」
二人が一緒になって迫ってくる。
完璧に逃げ場がない状況だった。
玖渚さんも、どんなことをしてでもしゃべらせるー、みたいなこと考えてる顔してるしー!
じりじりと二人が接近して、私達がほとんど顔をつき合わせるまでに接近したところで、
ガチャッ
ドアが開いた。
そしていーちゃんが帰ってきた。
素晴らしいナイスタイミングだった。私は思わず彼のことを見直してしまった。
いーちゃんはキスするくらいに顔を接近させた三人の女のこの姿を見て、少し驚いた後で、ゆっくりと口を開く。
「あっ、ごめん。お取り込み中だったね。出直そう」
「違いますからーっ!!」
『9月24日、伊東なつみへ』
その後、いーちゃんは少し出てくると言って部屋を出て行き、入れ替わりのタイミングで島のメイドの一人、千賀ひかりさんが入室してきた。
なんだか私をほったらかしにしたまま事態が進んでいき、気づくと私はひかりさんと向かい合って座っていた。
座っているのは部屋に備え付けのソファー。
ひかりさんが、心配そうな顔で私を見ている。
「あの、永久咲さん。具合、よろしくないんですか?」
「ああ……はい。でも、大丈夫です。初めてのことじゃないし、時間を置いたら直ると思いますから」
「持病、かなにかでしょうか?」
「まあ……そんなものです」
言ってから私は頭をぐったりとうなだれる。
それきりだまり、ひかりさんも気を遣ってか口を開けることはなかった。
沈黙が十分ほど流れ、
「うにー! お風呂上がったよ~。ひかりちゃんいるんでしょ? タオル取って取ってー」
という陽気な声で沈黙の時間は終わった。
ひかりさんが動き、少ししてからバスローブを着た玖渚さんとともに戻ってきた。
そして、玖渚さんがベッドに座り、ひかりさんは私の隣に座る。
そのひかりさんの動きから、先に玖渚さんにここにすわるよう指示されているのだな、ということが伺える。
お風呂上りの玖渚さんは機嫌が良さそうだ。髪の色も、なんだかさっきと変わっているように思う。濡れているからだろうか。
「さてっと!」
バフン、と玖渚さんがベッドシーツを両手で叩く。
「話をしようかな。せっかく、いーちゃんもいないし、女の子ばっかりだしねー」
「話、ですか?」
ひかりさんが訊く。
「うに。そうだよーん。枕投げとかもしてみたいではあるけど、ぼく様ちゃんは、昔ふとん類に押しつぶされて行方不明になったこととかあるからさ。だからお話をしよう!」
謎のストーリーが紹介された。
まあそこはおいといてもいい。たしかに話したいことなら私にもあった。
しかし、私より先んじて、ひかりさんが口を開く。
「あの、じゃあ、今回の事件のことなのですが……」
それは私の聞きたいことのひとつでもあった。きっとひかりさんは、この話を聞くためにここに来たのだろう。
けれど玖渚さんは首を横に振った。
「ごめんね、ひかりちゃん。その話はいーちゃんが戻ってからしようよ。きっと話すことになるだろうからさ」
「あ、そうですね。すみません」
「それじゃあ、私からもいいですか?」
「なにかな? 遥奈ちゃん」
ここで二人の視線が私に向いた。
「玖渚さんと、いーちゃんって、どういう関係なんですか?」
と、私が訊くと、ひかりさんも玖渚さんの方を興味ありそうな顔で向いた。
「うにー。まっ、友達かなー」
「恋人じゃ、ないんですか?」
今度はひかりさんが訊く。
「ぼく様ちゃんは恋人でもいいんだけどねー。でもいーちゃんは否定するんだよねー」
玖渚さんは不満そうに言った。
でも友達同士だったら、服を脱がせて、縛って、風呂に叩き込んでいるのは、尋常な友人関係とはいえない気がする。けれど私はそのことは口にしない。どうやらこれは触らぬ神に祟り無しなのかもしれない。
しかし意外な答えではあった。てっきり恋人同士だよー、と返事が返ってくるものと思っていたのだ。私にはそれくらいに二人が中良さそうに見えていた。
ひかりさんも釈然としていない顔になっている。
すると今度は玖渚さんの笑顔が、さっきよりにやけたものに変わる。
その表情から察することができる未来を思いついて、私は身構えた。
「で、ひかりちゃんはどうなのかにゃー。恋人はいるの?」
「えっ、えっ、えっ!? いえ、私は別に……」
いきなり話題を振られたひかりさんが、目に見えて動揺した。
それは容姿にぴったりな、まるで中学生の女の子のような反応だった。
「ふーん。怪しいぞ~」
玖渚さんがじりじりと近づいていき、逃げ場もないのにひかりさんは逃げ腰になりかけていた。
そこで、ひかりさんは突然なにかを思いついたかのように笑顔になると、私のほうを向き直った。
これはヤバイ。
「あっ、じゃ、じゃあ永久咲さんはどうなんですかっ? お年頃でしょう」
と、今度は私に振ってきた。
「わ、っわわ私はー」
キラーパスに動揺しながらも、頭の中には提督の顔が浮かんでいた。
渋めの顔にかけられたサングラスが光を反射する姿。
「いるんじゃないんですかー。誰なんです? 昔の学校の男子生徒とか」
ひかりさん、おもいっきり加害者の側に入っていた。
「えー、ちっ、違いますよー」
「じゃーだれなのー?」
玖渚さんも迫ってくる。
しかし私として、自分が少しオヤジ趣味であることをカミングアウトすることはなるべく避けたい事態だ。
問題は不幸にも私は嘘が苦手なのだった。
言い逃れようにも、いい案が思い浮かばない。
「どうなのー?」
「どうなんですー?」
二人が一緒になって迫ってくる。
完璧に逃げ場がない状況だった。
玖渚さんも、どんなことをしてでもしゃべらせるー、みたいなこと考えてる顔してるしー!
じりじりと二人が接近して、私達がほとんど顔をつき合わせるまでに接近したところで、
ガチャッ
ドアが開いた。
そしていーちゃんが帰ってきた。
素晴らしいナイスタイミングだった。私は思わず彼のことを見直してしまった。
いーちゃんはキスするくらいに顔を接近させた三人の女のこの姿を見て、少し驚いた後で、ゆっくりと口を開く。
「あっ、ごめん。お取り込み中だったね。出直そう」
「違いますからーっ!!」
『9月24日、伊東なつみへ』
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