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残念ながら高也さんあh書き始めるまでにまだ時間がかかるそうなので、一周回って2段目、凪が書くことになりました。他のみなさんも都合が悪いときなどは事前に連絡をいただければこちらで対処するので気軽に言ってください。 
そして書いていたらわりと長くなってしまったので、次の高也までの時間稼ぎってことで二回に分けて投稿することにしました。

動き始めた遥奈の最初の行動とは!!?

クビキリ+第9話

≪ここまでの粗筋~
 その日の夕食の席で、遥奈は予想外の言動を見せる。
 その後、何かをきっかけにしたのか動き出す戯言遣い。遥奈もそれに誘われ、彼らの所に行く前に行くべき場所へと動き出した≫



               『二段目:凪夏儀』

 考え事をしながら歩いていると、大きなお屋敷の中の移動もすぐに終わり、目的の場所に到着した。
 そこには朱音さんがいるはずの部屋。
 朱音さんにはどうしても話したいことがあった。


「園山さん。起きてますか」
 園山朱音の保護がなされている倉庫。私はその頑丈そうな扉の前に来ていた。
 返事は、ない。
 もう寝てしまったのだろうか。8時過ぎなので、早寝の人ならば寝ていてもおかしい時間帯ではない。ここに至って、もしかしたら迷惑をかけてしまったか、ということに思い至った。
「ん……その声は永久咲さんだね」
 もう帰ろうかな、と考え出したときにその声は聞こえてきた。
 少し眠そうな声だ。やはり起こしてしまったのかもしれない。
「すいません。起こしちゃいましたか?」
「いや、大丈夫だよ。居眠りをしてたみたいだね。むしろ起こしてくれたことにお礼を言わなくちゃいけない」
 それから数度キーボードを叩く音が聞こえた後、パソコンの電源が落ちる音。どうやら寝ている間、点けっぱなしだったようだ。
「永久咲さんだよね、名前。ああ、今はこれじゃないな、まだ寝ぼけているみたいだ。えと……なにか用だったかな?」
「ごめんなさい。ちょっと園山さんとお話がしたくて」
「ふふ。そいつはいいね。私は君みたいな可愛い女の子に好かれるのは大好きだよ」
 朱音さんは嬉しそうに笑っている。
「あの、その、別に好きとかそういうんじゃなくてっ」
「分かっているよ。ほんの冗談さ」
 そう言って朱音さんはまたくすくすと笑う。どうやらからかわれていたらしかった。
「えっとさ、永久咲さん。名前で呼んでいいかな?」
「いいですよ。でもハルちゃんと呼ぶのはやめてくださいね。その呼ばれ方だけは好きじゃないですから」
「だったら名前の最初と最後を取ってハナちゃんと呼ぶよ。ハナちゃん、ハナちゃん。実にいい響きだね」
 命名、ハナちゃん。
 まあ、さまざまな場所でいろんな名前で呼ばれてきた私であるので、この呼ばれ方も初めてではない。その中ではマシな方だ。女の子に花というのは単純ではあるけれど、シンプルだからこそ覚えやすいというものもある。
「ハナか、……うん。芥川だね」
「ええっ!? ハナって花じゃないんですかっ。鼻なんですかっ!?」
「あれ? 違ったかな」
「いえ、いえいえいえいえ。『鼻』は芥川の作品であっていますけれどもっ! 私は太宰より芥川が好きですけれどもっ! 和尚さんのキャラとか尊敬すらしてますけれどもっ!」
 そこまで言って一度息を吸う。
「でも鼻はないんじゃないですか!? 女の子の名前としては最悪でしょう。っていうか仇名ですよ、それは!」
 私がまくし立てるように一気にしゃべると、朱音さんはやはり楽しそうに笑って
「ふふふ、そうだったね。やっぱり日本語は難しい。暴君イギゴーだね」
「ああ……、からかってたんですね。ちなみにそれを言うなら同訓異義語です。どこの独裁者ですかそいつは」
「いやいや冗談が過ぎたことは謝るよ。代わりに私のことも気軽に呼んでくれていい。そうだね、アカちゃんとか」
 分かりづらい上に紛らわしい名前だった。
「じゃあ、普通に朱音さんでいいですか?」
「いいよ。何なら私も最初と最後を取ってアネちゃんとかでもよかったけどね。アーネスト・グリーンみたいでかっこいいじゃないか」
「知りません」
 マイナーなロックシンガーみたいな名前を口にして、朱音さんはまた少し笑う。
 扉の向こう側のことだから分からないけれど、雰囲気でとても楽しそうなのが伝わってくる。
「ああ、そうだ」
 朱音さんが思い出したかのように言う。
「そういえばハナちゃんは話をしにきたんだったね。悪かったね。話をそらせちゃって」
 人に言われてから自分もそのことをやっと思い出した。
 園山朱音と話をするために私はここに来ていたのだ。
 この島に来てまだまともに話をしていないのは、朱音さんぐらいで、その上に話さなければならないことだってある。
「本当はもっと早く来るべきだったんですけど、すいません。私だって朝のことにはアリバイはなかったのに、朱音さんだけこんなところに」
 それは朝からずっと気になっていることだった。
 12人の中でアリバイが無いのは私と朱音さんだけだった。それなのに私は自由で、朱音さんは監禁されている。名目上は保護とはいえ、やはり監禁であることは違いない。私はこういうフェアじゃない状況には抵抗を覚えてしまうタイプなのだ。
「そのことなら気にしなくていいよ」
 朱音さんはすごく軽い感じで答えた。
「私と伊吹さんが仲が悪かったっていうのがアレの決定打だったんだから、非は私にある。あの状況なら誰でも私を疑うし、玖渚ちゃんのお友達の判断は正しかった」
 理性的な返答だった。
 けれど理論がたっていたとして、それを私が素直に受け入れられるかは別問題だ。
 私がそれを言おうとしたとき、先に動いたのは朱音さんだった。
「それより、さ。実は私もハナちゃんと話したいことがあったんだよ」
「え?」
「ここにいる間に一度は話をしてみたいと考えていたんだけどね。なんだかいろいろあってなかなかそのチャンスがなさそうだから、今ここで話をしてもいいかな?」
「そんな。私の方からお邪魔したのに」
「それじゃあお互い様だね。ハナちゃんは言いたいことを言い終えたんだから、次は私の番というわけだ。このまま話さなかったら最後まで機会がないかもしれないからね。倒壊先に建たず、と言うことだし」
 朱音さんはまるで同年代の女の子に語りかけるように言っている。意外に親しみやすい人なんだな、と思った。倒壊してたらなかなか先には建ちませんよね、とはつっこまないでおく。
「はい」
「それじゃあ単刀直入に聞こう。どうだいハナちゃん。ここにきて君は自分の才能を見つけられたかな」
 声が先ほどとは違う、瞬時にそれは真剣なものに変わっていた。
 それは私がずっと問い続けていたもので、当然まだ答えは出ていない。
 ここには素晴らしい才能を持った人たちが多くいるのに、私にはそれと比べられるものが何一つない。なぜなら私には人に出来ることしか出来たことがないのだから。抜きん出た唯一など何一つ持っていない。けれどみんなは私を天才を呼ぶ。その答えはまだ分からないままでいる。
「いいえ。まだです。……と言ってもここでそれが見つかるとはあんまり思ってないんです。提督も勉強して来いみたいなことを言ってただけでしたし」
それに私には元々そんなものないのかもしれないし、かな
 次に言おうとしていた言葉を朱音さんに言われてしまった。しかも一字一句間違わずに。
「ふふ、これは真姫さんの持ち味なのに私が使ってはいけないね。言っておくけど今のは読心術とは違う。ただハナちゃんと似たことを考えていた人を知っているからさ。それをトレースしてみただけさ」
「それって、どういう……」
「失礼だとは思ったんだけどね。君の過去のこと、ちょっと調べさせてもらったよ」
「なっ!?」
 とんでもないことを朱音さんは気軽に言った。
 

                     『後編に続く』
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COMMENT : 感想、っていうかあとがき?
ストーリー的にはなんの関係もない話ですが、書いてると面白かったのでがさっと量が増えてしまいました。

朱音さん書いてると楽しいですね。さすが姫ちゃんの前身です。
やたらとかさんでしまった上に二部構成などしてしまって、自分でもいいのかな? と考えなくもないのですが、広い心で許してください。
ナギ×ナギ 2006-08-20(Sun)18:52:27
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