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 針山さん。大変なところをご苦労様でした。しかもストーリーがまたおもしろい方向へ進んでいます。さっすが!
 次は次段である癒井さんにお願いしたいのですが、可能な場合は三日以内にカキコをお願いします。

バトルシーンも終え、

クビキリ+第16話

≪ここまでの粗筋~

 二度目のアリバイ検証を終え、チームに分かれる島の住人達
 そんななか、ただ一人遥奈は戯言使いたちを離れ、襲撃を受ける。
 その相手は、伊吹かなみの看護人、逆木深夜であった≫



             『9段目 針山』

「冗談…じゃないですね?」
「冗談でこんな事をすると思うかい?これはね、当然で、必然さ」
 逆木深夜。
 伊吹かなみの介添人にしてこの島に来て、
 伊吹かなみをこの島で失った人。


「必然…?何故です?私を殺す事に何かあるんですか?それに拳銃なんてどうやって持ってきたんですか?」
「質問が多いね。まあ銃なんて何処でも手に入るし、問題はないとして」
いや、そこで簡単に流されてしまうほど簡単な問題じゃないんだけど…
「俺が君を殺す理由は、君には解っているんじゃないかな。」
私が殺される理由…それが私には解っている。
 そんな訳がない。姫菜さんじゃあるまいし、私に人の心を読む技はない。
「解りませんよ…解るわけないじゃないですか。ええさっぱりです。いくら考えても私は私が殺される理由なんて、これっぽっちも思い浮かびません」
「…………」
「それにさっきあの場所に居る事になってると言いましたね。あれはどういう意味なんです?」
「…………」
 確か深夜さんは姫菜さんと一緒のチームのはずだ。
 あの何でも見通す、千里眼の占術師を誤魔化す事なんてできるわけがない。
 何故そんな事が言えるのだろう。
 嘘という言葉が、言葉という言葉が存在しない彼女に対して、ここにいる深夜さんが姫菜さんと行動していると言い切れる自信はなんだ。
「いや、君には解っているはずだ。」
 深夜さんは銃を構えたまま、告げる。
「それが君が、無意識に天才と呼ばれる、由縁なのだからね」
 今…なんて言った?
 私が天才と呼ばれる由縁…?
「何を言ってるんですか…」
 震える声を抑えながら、
 私は、問う。
「それが私が天才だっていう事にはならな…」
「本当は解っているんだろう?」
「!」
 何が、解っているんだろうか。
 何を、解っているんだろうか。
 簡単だ。
 解っている事が、解っている。
「……貴方は、私が解っていると思っているんですね」
「ああ」
 何を、と
 何が、と
 考えるまでもなく、即答。
 それならば、解る。
 私が殺されなければならない理由も、解る。
「念の為、ですか?」
 私が殺されるのは、解らないから。
 どうなるか、解らないから。
「そういう言い方もある」
 はぐらかされた。
 けど、それは断定されたようなもの。
「それじゃあ姫菜さんは、何もかも知っているんですね?」
 その問いに深夜さんは、笑顔を浮かべただけで何も言わなかった。
 きっとそうだろうと思った。
 あの何でも見通す占い師は、きっとただ単に、理由なんてなく、深夜さんを庇う。
 いや、庇うなんて言葉は合っていない。
 そんな意志もなく、彼女は見過ごす。
 それが一番合ってる。
 見逃すんじゃなくて、見過ごす。
 神のように、全てを知っているが故に、見過ごす。
「部屋を出る時」
 深夜さんが以前笑いながら、言う。
「姫菜さんは言ったよ。『物語を変えることになるけど、いいのかい?』とね」
 まるで結末を知っているような発言だ。
 何回も見た、映画のように。
「姫菜さんはね。君についても言っていたよ」
「え…」
「『まあ遥奈ちゃんが出てきた時点で、もう変質し始めているけどね』だって」
「私が、いる時点で?」
 それは…本当は…いてはいけない存在ということ?
 それから姫菜さんは『それでも私には何も変わらないけどね』と笑いながら言ったそうだ。
 それでも、変わらない。
 それでも、見えてしまう。
 変わってしまっても、見えてしまう。
 なんて、存在だ。
「さて、どうしようか?」
「何が…ですか」
「簡単さ。今のこの状況だよ」
 何を、言っているんだ。
 こんな状況を作り出したのは、深夜さん自身。
 何か目的があって作り出した空間。
 私を殺すという目的の為に。
「戻ろうか」
「……は?」
「いやだって、あんまり遅いと彼、いーちゃんに心配かけるんじゃないかな?」
 意味が解らない。
 言っている、意味が解らない。
 気持ちが悪い。気味が悪い。気分が悪い。
「深夜さんは、私を殺したいんじゃないんですか?」
「出来ればね」
「じゃあ…なんで」
「別に、ただ時間がかかっちゃったからね」
 そんな事で?
 そんな他愛もない事でやめる?
 なんだろう…深夜さんが同じ人間とは、思えない。
 人とは、思えない。
 とても、気持ち悪い。
 とても、気分が悪い。
 とても、気味が悪い。
「私が、この事を話すかもしれないですよ」
「それはない」
 既に銃を仕舞った深夜さんは、即答で、断定した。
「君は話さない。何故ならそれも、君が天才だからさ」
 そう言って、深夜さんは近づいてくる。
 私は、来る!と思って身構えたが、夜さんはあっさりと、実にさっぱりと私の横を歩き、ドアに手をかけた。
「それじゃあ早く戻りなよ。首切り殺人鬼が、うろついてるんだから」
 バタンと、深夜さんは出て行ってしまった。
 暗い部屋。
 私は、解っていた。
 何が、ではなく
 何を、ではなく
 解ることが、解っていた。
 解ることが多すぎて、解らなかった。
 でも、まあ一つだけ。
 解ることはある。
 それは深夜さんに言われたからではない。
 それだけは解る。
 私はきっと今の事を、誰にも話さない。
 決意でも決断でもなく、ただ純粋に、そう思った。
 仕方ない。早く玖渚さんの部屋に行こう。
 私はドアを開け、出た。
 暗い部屋を一度も振り返る事無く、出た。
 早く事件を解決しようと、頭の中で考えながら。
 今の出来事を、決して言わないと思いながら、私は、歩く。
 玖渚さんの叫び声が聞こえたのは、その時だった。 

                      『11月4日癒井唯へ』
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