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癒井唯さんがおやすみのようだったので、今回もぼくが書かせていただきました。また次回にはよろしくお願いしますっ
クビキリ+第17話!
≪ここまでの粗筋~
アリバイ調査の後、遥奈は逆木深夜の襲撃をうける。命があやういところまで追い詰められるが、深夜は意味深な言葉を残し、彼女を見逃すのだった。≫
階下での事を終え、駆けつけた玖渚さんの部屋で見たもの、それは粉々に破壊されたパソコン姿だった。
そしてそれを前にして絶叫する玖渚さんと、困惑するひかりさんと、思考するいーちゃんの図。彼の考えていることについては用意に想像できた。つまりこのパソコンの破壊については実行できるものが時間的に見て存在しないということ。
一つの不可能犯罪が、また起こっていた。
クビキリ+第17話!
≪ここまでの粗筋~
アリバイ調査の後、遥奈は逆木深夜の襲撃をうける。命があやういところまで追い詰められるが、深夜は意味深な言葉を残し、彼女を見逃すのだった。≫
階下での事を終え、駆けつけた玖渚さんの部屋で見たもの、それは粉々に破壊されたパソコン姿だった。
そしてそれを前にして絶叫する玖渚さんと、困惑するひかりさんと、思考するいーちゃんの図。彼の考えていることについては用意に想像できた。つまりこのパソコンの破壊については実行できるものが時間的に見て存在しないということ。
一つの不可能犯罪が、また起こっていた。
*
パソコンのことはもはや対処不能と考え、次の予定であった園山朱音さんの遺体の埋葬を済ませた私たち一行は、屋敷の裏の林を後にしていた。
先頭を玖渚さんが歩き、その後をたたんだ担架を担いだひかりさん、スコップを持ったいーちゃん、そして私が続いている。ひかりさんと玖渚さんはなにかを話しているようだ。
「いーちゃん、大丈夫ですか? けっこう疲れてるみたいだけど」
前をあるくいーちゃんは見るからに足取りが重い。朱音さんを運ぶことはひかりさんと半々とはいえ、その後の埋葬をすべて一人でやってのけたのだからそれも当然だろう。私はというと、そんながんばるいーちゃんの姿を心の中で応援しながら見ていただけだったのだけれど。
「うーん。心配してくれるのは嬉しいんだけど、スコップを持つのを変わってくれたりするともっと嬉しいな、ハルちゃん」
「形だけの心配なので、そんなことまではとてもとても」
「心が伴ってねーのかよ」
「心ない少女ですからね」
「別に上手くないよ。それは」
「今は心が無いのです、と書いて……」
「書いて?」
「無念です」
いーちゃんはなにも言わなかった。
私もあんまりいいこと言えたとは思ってなかったし。ここは一つ話題を変えてみたほうがいいかもしれない。
「いーちゃんはこの後はどうする予定ですか?」
「んー。イリアさんに会いにいってみようかなって思ってる」
「一人でですか? 単独行動は危ないからのチーム行動なのに」
「まあそれだって仕方ないっちゃあ仕方ないさ。何事もケースバイケースだよ」
「そうですか……よし。私も着いていきます。それなら2,2だから分かれても問題ないだろうし」
私が提案すると、いーちゃんはなにか思うところがあるのか、うーんと悩むように唸った。
「いや、やっぱり一人で行く。ハルちゃんは玖渚たちと一緒にいてくれないかな」
「どうしてですか? もしかして聞かれてはまずい話でもするとか。イリアさんに求婚をせまって逆玉を狙う気ですね」
「なんでそうなるかな」
「ああっ! となるといーちゃんは玖渚さんから乗り換えることに!?」
「いや、だから友とはそういうのじゃないって」
「じゃあ私がもらってもいいんですね?」
「どうぞどうぞ。今ならシスコン兄貴もおまけでつけておくよ」
「クーリングオフは利くんでしょうね?」
「何の話してるのかな? いーちゃん、ハルちゃん」
「………………」
「………………」
突然に振り返った玖渚さんによって、私たちの会話は強制終了された。
「なんの話をしてたんでしたっけ? いーちゃん」
「さあ、なんだったんだろうね? ハルちゃん」
結局いーちゃんの案は却下され、この後は私と二人でイリアさんに会いに行くことになった。
いーちゃんが何をイリアさんと話そうとしているのかは分からない。
私に分かっているのはこの事件のことだけだ。
事件は、解けてしまった。
裏の林に朱音さんの遺体を埋めに言ったときに見た、伊吹かなみさんの墓を見たときには既に。
不可能なはずのパソコンの破壊。
深夜さんの不自然な干渉行為。
そして、“2”という数。
すべては一つにつながっている。問題はその一本の糸がどこからきてどこへ行くものかということ。
始まった意味と、終える意味。その“二”つを見つけるために、
私は――イリアさんの部屋を訪れた。
『11月9日 三段目、矢賀波高也へ』
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