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新年最初の投稿は咲織さんから! いきなりのところ、ご苦労様でした。そして、ありがとうございました。
クビキリ+21話
≪ここまでの粗筋~
佐代野弥生の登場により、事件は解決編へと傾いていく。最後の晩餐の席。戯言遣いたちの狂演は始まった≫
「もういやよ!」
弥生さんの叫び声が、耳に突き刺さる。
わかっていたこととはいえ、一瞬どきっとする。
クビキリ+21話
≪ここまでの粗筋~
佐代野弥生の登場により、事件は解決編へと傾いていく。最後の晩餐の席。戯言遣いたちの狂演は始まった≫
「もういやよ!」
弥生さんの叫び声が、耳に突き刺さる。
わかっていたこととはいえ、一瞬どきっとする。
学校の授業中に眠気と戦って、ああもう寝てしまうという瞬間に、先生が怒っ
て黒板を叩くときの、あの寿命が縮むかのような感じとはまた違うけれども。
「貴方達おかしいんじゃないの!?」
弥生さん、名演技である。というか、きっと本気なのだろう。
見るからに神経質そうな天才さん。こんなストレスのたまる状況で、今までよ
くこんなにおいしいご飯が作れたものだ。
それよりも、ご飯がもったいない。おいしいのに・・・・・。
騒ぐだけ騒いで、その場をおもいっきりかき混ぜてから、弥生さんは部屋を出
て行った。
「困ったものですね」
冷静そうなイリアさんは、そんな弥生さんを一瞥してため息のようなものを吐
いた。
私はそんなイリアさんをじっと見つめる。
私と目が合うと、イリアさんは軽く微笑んで、私から目を逸らしてあかりさん
とひかりさんに指示を出した。
『あの晩……、わたし、確かにイリアさんと話していたんです。それは、嘘偽り
のない事実です。だけど……、
そこに班田さんはいなかったんです』
その言葉をきいて、いーちゃんと私でいろいろ考えて。
結論は出た。あとは、そのための証拠を、曝け出すだけ。
もちろん、言葉だけで全員を納得させるようなロジックは成り立ってはいるが
、それでも、証拠があるのとないのでは差が大きすぎるから。
「ハルちゃん、ここは頼んだよ」
「はーい」
いーちゃんが弥生さんを追いかけていく。
私は、イリアさんを再び見つめる。
今度は、微笑んでもらうどころか、目も合わせてもらえなかった。軽くショッ
ク。
「どーしたの、ハルちゃん」
「いえ、なんでもないです」
友さんに軽く微笑みながらそういって、廊下の方へ耳を澄ませた。
………針が落ちる音が聞こえるとか、そんな特殊能力はないけれども。
◆◇◆
「い、痛そうですね」
苦笑いを浮かべていーちゃんの足を見る。
青あざがくっきり、打撲である。私でさえこんな打撲をした記憶はない。
「そういうなら、友をどうにかしてくれ。打撲は触られると痛いんだ」
ひかりさんが湿布をてきぱきと要領よくはる。
湿布をはるときにクシャッてならないのはすごいと思う。うん、すごいな。
あの後、発砲音がして、友さんがダッシュして、ああ、この人は走ったりする
んだとかぼーっと眺めてから、はっと気付いて駆けつけたらいーちゃんの第告白
の最中であった。
ちょっとタイミング悪かったかなぁ、とか思ってどうしようか立ち尽くしてい
たら、赤音さんが私の名前を呼んで、……そして、手に持っていた拳銃を投げ捨
てた。
「さぁて、いーちゃん。謎解きの始まりですよ?」
「ぼくはこの足じゃぁ歩けそうにないからね。ハルちゃんに御願いすることとし
よう」
「嫌です。私はそういう表舞台は嫌いなんです。ここは年長者を尊重して、いー
ちゃんで」
「いや、若いうちからこういうことは経験をつんでおくべきだよ。ぜひ、ハルち
ゃんが」
「いえいえ、私みたいな若輩者は、まずは先輩のやり方を見て学んでから、です
よ」
「そんな、ぼくなんかのやり方をみてもプラスにはならないから、やっぱり自分
で切り開かないと。フロンティアスピリッツは大切だよ」
「いーえ、私は開拓者ではありませんから。それはまぁ、The Less Traveled Road
を進みたいとは思っていますけれどもね」
「なんというか引用が素晴らしいね。ロバート・フロストを知っているとは……
」
と、いうやりとりがしばらくあってから、結局いーちゃんが主に進めて私が気
付いたところを補足していく、という形で落ち着いた。
そう、そのはずなのだが……
「説明しましょう。ER3が七愚人・園山赤音さんが犯人で、伊吹かなみの介護人、
そこにいる逆木深夜が共犯です。以上」
こともあろうが、一言ではないが、一分も経たずに解答編を終了させてしまっ
たのだ。
「せめて、三十分は持たせて下さい」
イリアさんが、少し疲れたような表情でそういった。
解決編があまりにも長すぎるのは嫌だが、ここまで短いのはすごいであろう。
本当に、ここまで短いというのは、あまりにも……
「いーちゃん、手抜きです」
「じゃぁハルちゃんが言ってよ」
「むぅ……」
補足係が私ならば、私が説明しないといけないのだろうか。
でも、これは補足じゃなくって説明だ。
「……さて、」
腹を括って、解決編のお決まり、と最近学んだ言葉ではじめる。
この辺は、ここへ持ち込んだ本の影響である。ルーツがない分、影響されやす
いのかもしれない。
「始めから、かなりの情報はあったようですね。だけれど、私たちはその情報を
見逃してしまいました。
固定観念とか、いろいろあると思いますけれども……、まぁそのミスの原因は
気にしないでおきましょう。
ミスディレクションと思われたことが、実は真実へ直結していたなんて、そん
なのはホントに……」
「戯言だね」
いーちゃんが横からかっぱらっていった。
自分で言いたいのなら言えばいいのに。
「では、一つ一つの事象から、紐を解くようにするすると検証していきましょう
か」
解決編が始まる。
て黒板を叩くときの、あの寿命が縮むかのような感じとはまた違うけれども。
「貴方達おかしいんじゃないの!?」
弥生さん、名演技である。というか、きっと本気なのだろう。
見るからに神経質そうな天才さん。こんなストレスのたまる状況で、今までよ
くこんなにおいしいご飯が作れたものだ。
それよりも、ご飯がもったいない。おいしいのに・・・・・。
騒ぐだけ騒いで、その場をおもいっきりかき混ぜてから、弥生さんは部屋を出
て行った。
「困ったものですね」
冷静そうなイリアさんは、そんな弥生さんを一瞥してため息のようなものを吐
いた。
私はそんなイリアさんをじっと見つめる。
私と目が合うと、イリアさんは軽く微笑んで、私から目を逸らしてあかりさん
とひかりさんに指示を出した。
『あの晩……、わたし、確かにイリアさんと話していたんです。それは、嘘偽り
のない事実です。だけど……、
そこに班田さんはいなかったんです』
その言葉をきいて、いーちゃんと私でいろいろ考えて。
結論は出た。あとは、そのための証拠を、曝け出すだけ。
もちろん、言葉だけで全員を納得させるようなロジックは成り立ってはいるが
、それでも、証拠があるのとないのでは差が大きすぎるから。
「ハルちゃん、ここは頼んだよ」
「はーい」
いーちゃんが弥生さんを追いかけていく。
私は、イリアさんを再び見つめる。
今度は、微笑んでもらうどころか、目も合わせてもらえなかった。軽くショッ
ク。
「どーしたの、ハルちゃん」
「いえ、なんでもないです」
友さんに軽く微笑みながらそういって、廊下の方へ耳を澄ませた。
………針が落ちる音が聞こえるとか、そんな特殊能力はないけれども。
◆◇◆
「い、痛そうですね」
苦笑いを浮かべていーちゃんの足を見る。
青あざがくっきり、打撲である。私でさえこんな打撲をした記憶はない。
「そういうなら、友をどうにかしてくれ。打撲は触られると痛いんだ」
ひかりさんが湿布をてきぱきと要領よくはる。
湿布をはるときにクシャッてならないのはすごいと思う。うん、すごいな。
あの後、発砲音がして、友さんがダッシュして、ああ、この人は走ったりする
んだとかぼーっと眺めてから、はっと気付いて駆けつけたらいーちゃんの第告白
の最中であった。
ちょっとタイミング悪かったかなぁ、とか思ってどうしようか立ち尽くしてい
たら、赤音さんが私の名前を呼んで、……そして、手に持っていた拳銃を投げ捨
てた。
「さぁて、いーちゃん。謎解きの始まりですよ?」
「ぼくはこの足じゃぁ歩けそうにないからね。ハルちゃんに御願いすることとし
よう」
「嫌です。私はそういう表舞台は嫌いなんです。ここは年長者を尊重して、いー
ちゃんで」
「いや、若いうちからこういうことは経験をつんでおくべきだよ。ぜひ、ハルち
ゃんが」
「いえいえ、私みたいな若輩者は、まずは先輩のやり方を見て学んでから、です
よ」
「そんな、ぼくなんかのやり方をみてもプラスにはならないから、やっぱり自分
で切り開かないと。フロンティアスピリッツは大切だよ」
「いーえ、私は開拓者ではありませんから。それはまぁ、The Less Traveled Road
を進みたいとは思っていますけれどもね」
「なんというか引用が素晴らしいね。ロバート・フロストを知っているとは……
」
と、いうやりとりがしばらくあってから、結局いーちゃんが主に進めて私が気
付いたところを補足していく、という形で落ち着いた。
そう、そのはずなのだが……
「説明しましょう。ER3が七愚人・園山赤音さんが犯人で、伊吹かなみの介護人、
そこにいる逆木深夜が共犯です。以上」
こともあろうが、一言ではないが、一分も経たずに解答編を終了させてしまっ
たのだ。
「せめて、三十分は持たせて下さい」
イリアさんが、少し疲れたような表情でそういった。
解決編があまりにも長すぎるのは嫌だが、ここまで短いのはすごいであろう。
本当に、ここまで短いというのは、あまりにも……
「いーちゃん、手抜きです」
「じゃぁハルちゃんが言ってよ」
「むぅ……」
補足係が私ならば、私が説明しないといけないのだろうか。
でも、これは補足じゃなくって説明だ。
「……さて、」
腹を括って、解決編のお決まり、と最近学んだ言葉ではじめる。
この辺は、ここへ持ち込んだ本の影響である。ルーツがない分、影響されやす
いのかもしれない。
「始めから、かなりの情報はあったようですね。だけれど、私たちはその情報を
見逃してしまいました。
固定観念とか、いろいろあると思いますけれども……、まぁそのミスの原因は
気にしないでおきましょう。
ミスディレクションと思われたことが、実は真実へ直結していたなんて、そん
なのはホントに……」
「戯言だね」
いーちゃんが横からかっぱらっていった。
自分で言いたいのなら言えばいいのに。
「では、一つ一つの事象から、紐を解くようにするすると検証していきましょう
か」
解決編が始まる。
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