×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
このブログではお久しぶりになります。ナギ×ナギです。
一月前になされた針山さんのご提案。
『化物語』でリレー小説をやらないか。
というのがおもしろそうだったので試しに作ってみました。
このままいくかどうかは応相談ですが、とりあえずはここまで作ってみました。
私もやってみてー! なんて思った人はコメントにどうぞ。お待ちしております。
ではでは
みやこフォックス001!
8月30日、部分修正。
一月前になされた針山さんのご提案。
『化物語』でリレー小説をやらないか。
というのがおもしろそうだったので試しに作ってみました。
このままいくかどうかは応相談ですが、とりあえずはここまで作ってみました。
私もやってみてー! なんて思った人はコメントにどうぞ。お待ちしております。
ではでは
みやこフォックス001!
8月30日、部分修正。
宿木都子(やどりぎ・みやこ)はある種の有名人だ。
有名といえ女子バスケット部をほぼ独力で全国大会まで導いたエースの神原駿河だが、それもほとんどは私立直江津高校の内に限定された知名度である。対して宿木都子という名前は僕たちの住む町の中で知らない者がいないレベルなのだ。上には上がいる。そして狭い町での知名度というのは局地的とはそれだけすごいものがある。
そんな彼女の実家は、神社の神主をやっている。
『大樹神社(おおぎじんじゃ)』は発展が遅いこの町にある唯一の観光名所でもある。いつぞや件の神原と赴いた荒れ果てた神社などとは比べるのもおこがましい立派な古式建築の神社なのだ。
神社は町の東端にある山の上にあって、その特徴としては山頂まで向う山道には等間隔に並ぶ数百の鳥居の列だ。鳥居と聞けば、京都にある稲荷大社の千本鳥居をイメージしそうなものだが、違いは何より実物を見れば一目で分かる。
大樹神社の鳥居は黒いのだ。
山門から山頂まで、一つの例外なく黒一色の鳥居が、数十数百と並んでいる。
文字通りに異色であるためか、そこにまつわる怪談なんかもあるくらいだ。そんな鳥居の列をくぐりきった所にあるのが大樹神社であり、この町に住む者は例えば小学校の遠足などで絶対一回はここを訪れることになる。そしてその名物神社の名物巫女さんにして当代神主、それが宿木都子という女性だった。
僕が初めて彼女と知り合ったのは中学生の時になる。
中学校の先輩と後輩。
お世話する側と、される側。
こき使う側と、使われる側。
それが、阿良々木暦と宿木都子先輩との初期設定だった。
具体的に言えば、中学一年生の一学期の登校初日の始業式の最中、その頃三年生で生徒会長だった都子先輩に壇上からいきなり名指しで生徒会特別下っ端役員として任命されたのが僕との出会で、それは後で聞いた話によるとその日の朝にやった都子先輩の占いで僕を下っ端にするように出たとの事のらしい。
かなり馬鹿に聞こえる理由だが、それを誰も非難しなかったのは、否、非難できなかったのは変えようのない事実だった。
それが宿木都子の力。
命中率100パーセントと噂される、占いの力だった。
自称謎の巫女パワーらしいが、実際に当たっているのだから始末が悪い。とにもかくにも僕はそれからの一年間を生徒会特別下っ端役員というその日その時思いつきで作られた役職に就いてこき使われて過ごすようになり、気づくと中学校の中では雑用のことは阿良々木に聞けと言われるまでになっていて、僕の雑用スキルはどんどん上昇していったが、そんなのはただの迷惑半分苦労半分でしかないことだった。
正直に言わせてもらうと、あの時あの生徒会にあの先輩がいなかったなら僕は一日でそんな役職は辞めて静かで平凡な学生生活を送っていたことだろう。そもそも生徒会などに足を踏み入れることさえなかったに違いない。実際、都子先輩が卒業して進学ではなく神社に入った瞬間には僕も生徒会を辞めていたし。
ぶっちゃけた話。僕の人生における都子先輩の影響力はけっこう大きい。
私立直江津高校という自分の背丈以上の学校を目指してしまったのも、都子先輩が行きたいと常々言っていたという実にアホらしい理由であり、そのために僕は苦労して苦労して学校に入学してから平均偏差値の高さに打ちのめされ、人格と性格をある程度補正しなければならないことになってしまった。そこだけ見ればお恨みもうしあげてもさしておかしくはないだろう。いや、おかしいけど。
でも。
そのおかげで、僕は高校三年生の春休み、とある鬼と出遭うことになった。
そのおかげで、僕はゴールデンウィークに、とある猫と出遭うことになった。
そのおかげで、僕はその休み明けに、とある蟹と出遭うことになった。
そのおかげで、僕は母の日に、とある蝸牛と出遭うことになった。
そのおかげで、僕はその二週間後に、とある猿と出遭うことになった。
そのおかげで、僕は文化祭の数日前に、とある蛇と出遭うことになった。
そのおかげで、僕はとあるアロハ服のおっさんと知り合うことになり、
そして分かれることになった。
そんないくつかの怪異や、それと同格に数えられそうなおっさんと出遭うことになったのは、一重に都子先輩のせいだと言えなくもない。
都子先輩のおかげ、とも。
それらとの邂逅を経て、僕はずいぶん変わってしまった。
例えばもう背中まで届くくらいに伸びた髪。
そして人間関係。
あとはついでに血液とかも。
確か最後に都子先輩と会ったのは、高校に入学する少し前だったと思う。
つまりおよそ3年近くも会っていないことになるのだ。連絡もとったことはないし、どうせいつもいる場所は分かっているのだからいつでも会えると思っていた。
だからこれだけの期間が開いてしまったのだ。
それでも僕が大樹神社に向う山門をくぐったのは、さらに半年後に控えた大学受験に向けての学業祈願のお守りを購入するためであり、もっと言えば数日後に控えた夏休み、そこで行われる戦場ヶ原と羽川と神原を交えた勉強合宿(しかも田舎にある僕のおじいちゃんの家で!)を生き残るための神頼みをするためであった(もちろん重要なのは後者)。
だから都子先輩に会うことになるかな、くらいには考えていたがさほどそこは重要視していなかった。
だから僕はそこでひどく驚かされることになる。
山中で偶然あの迷子娘と遭遇したことなど忘れ去れるくらいに、ひどく。
忘れられなくなるほどにひどくひどく、驚かされることに。
心の底から思う。
狐につままれたような気分。
その程度で済んだらどれほどよかったことだろうかと。
PR
この記事にコメントする
