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更新が滞っていてすみませんでした。
物語りもいよいよ大詰めです。
それではいってみましょう!
クビキリ+第20話!!
≪ここまでの粗筋~
二つの殺人を経て、遥奈たちは事件の真相に近づいていく。パソコンの破壊、逆木深夜の襲撃。そして部屋を訪れる一人の動きが、全ての鍵となる≫
数年前の前世紀。日本においてネットワーク事情がそれほど発展していなかった時期に現れた集団があった。いや、彼らはほんの一瞬だって、その姿も、影も、匂いすらも衆目に晒すことはなく、一年前に突然消息を絶つ最後の時まで自ら名乗ることさえしなかったが、彼らは確かに存在していた。
物語りもいよいよ大詰めです。
それではいってみましょう!
クビキリ+第20話!!
≪ここまでの粗筋~
二つの殺人を経て、遥奈たちは事件の真相に近づいていく。パソコンの破壊、逆木深夜の襲撃。そして部屋を訪れる一人の動きが、全ての鍵となる≫
数年前の前世紀。日本においてネットワーク事情がそれほど発展していなかった時期に現れた集団があった。いや、彼らはほんの一瞬だって、その姿も、影も、匂いすらも衆目に晒すことはなく、一年前に突然消息を絶つ最後の時まで自ら名乗ることさえしなかったが、彼らは確かに存在していた。
まったくの売名行為をしなかった彼らは、ヴァーチャルテロや、クラックユニット、サイバーテロや、摩天楼を手斧一本で作る連中とまで呼ばれるほどに未発達だったネット世界の中を縦横無尽に暴れ周り、一騎当千の力で壊し続け、大胆不敵に出没し、傲岸不遜に闊歩した。
一年前、結局なんの消息も残すことなく、一体なにがしたかったのかさえ明らかにしないままに彼らは完全に世界から姿を消した。
そしてこの事実を知る者は極少ないが、ここまでの話に出てきた彼らとは、実はたった九人のグループであった。一人の少女のもとに集まった、八人の人間により、それは形成されていた。その集まりに固定的な名前はなく、メンバーのそれぞれが『チーム』とも『レギオン』とも『ラッセル』とも呼んでいた。そのグループの中心であり、指揮を執っていたのが、『死線の青』、玖渚友であり、私の育ての親である提督こと、『挫ける餞別』撫桐伯楽はそのメンバーの一人であった。
提督は、そのグループの事を『最後の晩餐(ドーム)』と呼んでいた。
『最後の晩餐』は、キリスト教の新約聖書に記述される事跡の一つであり、イエス・キリストが処刑される前夜、十二人の使徒と共にとった夕食の事をいい、絵画としてはレオナルド・ダヴィンチの描いたものが有名である。
一人の聖者の下に集まった、十二人の弟子。
そしてその場でなされる洗礼と、予言と、裏切りの告知。
こうして私――永久咲遥奈が思い出してしまうのは一昨日の夕食の光景だ。
あの、朱音さんと伊吹さんが喧嘩をした日、
晩餐の円卓についていた人物は、私を含め、ちょうど十三人だった。
その情景はあまりに被るものがある。
ありすぎる。
ならば裏切り者はだれなのか。
死の運命にあった聖者は誰なのか。
そして、私はいったいなんの役割を持っていたのか。
二人が減り、十一人となった円卓で、今、それが明かされようとしていた。
私にとって四日目になる鴉の濡れ羽島での晩餐が始まろうとしていた。
てる子さんは使用があるとかないとかでここにはおらず、席に座っているのは合計で十人になる。
その中でも普段どおりの顔をしてないのは二人、一昨日に伊吹かなみさんを亡くした深夜さんと、佐代野弥生さんだ。数時間前、私たちがいた玖渚さんの部屋に訪れた人は、彼女であった。弥生さんとの会話を経て、今私たちはこの席に座っている。
十人の中で一際楽しそうな笑顔を浮かべているイリアさんが、いーちゃんに事件の話をしている。
話題はしだいに事件のことから、三日後に訪れるという新たなる天才のことになってきた。
しかし私にはその話は一つも耳に入っていない。
食べている料理の味も分かっていない。
他のところに、私の意識は集中しきっていた。
もうすぐだ。
もうすぐ。
………………今!
「もう嫌!」
がたんと音を立てて弥生さんが席を立った。
私もわずかに腰を浮かせる。
いーちゃんも玖渚さんも、顔は見えないがきっと同じ事を考えているのだろう。
さあ、ゲームスタートだ。
一年前、結局なんの消息も残すことなく、一体なにがしたかったのかさえ明らかにしないままに彼らは完全に世界から姿を消した。
そしてこの事実を知る者は極少ないが、ここまでの話に出てきた彼らとは、実はたった九人のグループであった。一人の少女のもとに集まった、八人の人間により、それは形成されていた。その集まりに固定的な名前はなく、メンバーのそれぞれが『チーム』とも『レギオン』とも『ラッセル』とも呼んでいた。そのグループの中心であり、指揮を執っていたのが、『死線の青』、玖渚友であり、私の育ての親である提督こと、『挫ける餞別』撫桐伯楽はそのメンバーの一人であった。
提督は、そのグループの事を『最後の晩餐(ドーム)』と呼んでいた。
『最後の晩餐』は、キリスト教の新約聖書に記述される事跡の一つであり、イエス・キリストが処刑される前夜、十二人の使徒と共にとった夕食の事をいい、絵画としてはレオナルド・ダヴィンチの描いたものが有名である。
一人の聖者の下に集まった、十二人の弟子。
そしてその場でなされる洗礼と、予言と、裏切りの告知。
こうして私――永久咲遥奈が思い出してしまうのは一昨日の夕食の光景だ。
あの、朱音さんと伊吹さんが喧嘩をした日、
晩餐の円卓についていた人物は、私を含め、ちょうど十三人だった。
その情景はあまりに被るものがある。
ありすぎる。
ならば裏切り者はだれなのか。
死の運命にあった聖者は誰なのか。
そして、私はいったいなんの役割を持っていたのか。
二人が減り、十一人となった円卓で、今、それが明かされようとしていた。
私にとって四日目になる鴉の濡れ羽島での晩餐が始まろうとしていた。
てる子さんは使用があるとかないとかでここにはおらず、席に座っているのは合計で十人になる。
その中でも普段どおりの顔をしてないのは二人、一昨日に伊吹かなみさんを亡くした深夜さんと、佐代野弥生さんだ。数時間前、私たちがいた玖渚さんの部屋に訪れた人は、彼女であった。弥生さんとの会話を経て、今私たちはこの席に座っている。
十人の中で一際楽しそうな笑顔を浮かべているイリアさんが、いーちゃんに事件の話をしている。
話題はしだいに事件のことから、三日後に訪れるという新たなる天才のことになってきた。
しかし私にはその話は一つも耳に入っていない。
食べている料理の味も分かっていない。
他のところに、私の意識は集中しきっていた。
もうすぐだ。
もうすぐ。
………………今!
「もう嫌!」
がたんと音を立てて弥生さんが席を立った。
私もわずかに腰を浮かせる。
いーちゃんも玖渚さんも、顔は見えないがきっと同じ事を考えているのだろう。
さあ、ゲームスタートだ。
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