『こころソード００２』

あんなことを言いながらさっそく針山さんが続きを書いてくれたのですよー。早いっ！！

そしてどんどんかわいそうなことになっていく我らが阿良々木暦の運命やいかに？！
ではではいってみましょー

新キャラ、あの双子が初登場する第二話！！


『こころソード００２』！！

　さて、今回も始まりはパンツだ。

　僕が語るに語らない物語は大抵パンツで始まり、最後はブラジャーで終わる。

　春先の出来事もそんな感じだった。

　あの鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼が出てきたときも、同じ。

　だからそう、羽川が突然下着選びを手伝ってくれと僕に言ったとしても、何の不思議もないわけだ。

「って、そんなわけないだろ！」

「ん？　どうかした阿良々木くん？」

　羽川は女性ものの下着を持っている。

　間違っても僕には何の使い道もない。

　勿論羽川が着用するためだろう。

　そして僕の思い過ごしかもしれないが、その手に持っている下着は僕の家に置いて
あるパンツと似ているような気がする。

　うぅむ…まさか。

「なぁ羽川」

「何？」

「そのパンツさ…」

「これはあげられないよ？」

「いや、そうじゃなくて」

「そんな物欲しそうな目で見ても駄目だよ」

「そんな目してねえよ！」

　羽川は僕から離すようにパンツを隠す。

　あれ？どうしてだろう？　なんだかとても悲しい気持ちになってきた。何も悪いことしてないのに。

　羽川はそんな僕に構う事無く、また下着選びに戻る。

　女の買い物は長いって聞くけど、羽川も長いのだろうか？

　手持ち無沙汰になった僕は店内を見回す。

　すると、

　一人…いや、僕達の他に二人の買い物客がいた。

　その二人は、左右線対象。

　双子なのだろう。

　全くと言っていいほど似ている二人が、可愛らしい下着を手に取り二人で見ていた。

　二人だけで買い物に来てるらしく、服装は可愛い、まるで学校の紺色のスカートを履いていて…ってなんだ僕。何故下半身からの説明なんだ。

　僕が若干自己嫌悪に陥っていると、その双子と、目が、合った。

「なんだお前」
「なんだお前」

「こっち見るな」
「こっち見るな」

　二人は全く同じ台詞を繰り返す。

「男なのにこんなところにいる――変態だ」
「男なのにこんなところにいる――変態だ」

「変態なら殺すぞ」
「変態なら殺すぞ」

「…………」

　…いや、まあ確かに見つめてた僕が悪いかもしれないけどさ…女の子にそんな事を言われるのは、やっぱり傷つく。

「えぇと、いや別に君達を見てたわけじゃなくて…」

「黙れ殺すぞ変態」
「黙れ殺すぞ変態」

「お前みたいな凡人に用はない」
「お前みたいな凡人に用はない」

　左右同時に殺すぞ――と、声が揃う。

　双子は一瞬殺気だった目をしたが、お互いに自分達の服装を見つめあうと、突然、動きが止まる。

「命拾いしたな変態」
「命拾いしたな変態」

　そう言って、店から出て行った。

　…なんだったんだろう。

　なんだかとても嫌な予感がしたが、また再会しそうな予感がしたが、僕は考えないことにした。

　ただあれだけ変態変態言われるのは、落ち込む。

　僕じゃなくても落ち込むというか、傷つく。

　なんだかこの店い入ってから傷ついてばかりだ…。

　そこでふと、後ろを振り返ると、羽川が冷たい視線を僕に注いでいた。

「阿良々木くん…」

　とても可哀相なものを見る目をした羽川は僕から少し離れる。

　え？　何これ？

「ちょ、ちょっと羽川？」

「見境なさ過ぎ」

「違う！」

「もう本当に…パンツならなんでもいいんだね…」

「違うぞ羽川！　僕はお前のパンツにしか興味はない！」

　さらに僕から離れ氷河期のような視線を向ける羽川。

　地雷を踏む僕。

「…変態」

　こうして僕はこの店で変態の称号を得た。