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早速続きを投稿させていたますぜぃ!

次は針山さんにキラーパスですっ! がんばってください!!


物語もついに終盤戦に突入です。
ついに現れる怪異の本質。
御神体、殺生石、そして狐。
貼っておいた伏線もけっこう回収しちゃいましたので!


ではでは!

みやこフォックス008!



 カラカラカラカラ――――


 鈴が鳴っていた。


 カラカラカラカラ――――


 大小様々、幾十とある数の鈴が、部屋中のいたるところに備え付けられたその全てが音を立て、響き合っていた。一つ一つはたいしたことのないはずの金属音が、連なり続け、重なり続けることで大型車のエンジン音のように激しく空気を震わせている。
 それはまさしく異常。
 常識とはまったく異なる光景だった。
 なぜなら鈴は勝手に鳴っている。
 誰かに紐を引かれているわけでもなく、地震で揺れているのでもない。
 そもそも部屋中の全ての鈴は動いてすらいない。
 空堂内の玉はその底面に落ち着いたままであるにも関わらず、鳴るはずのない音が、鳴っている――鳴いている!



 カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ


「――――宿木先輩っ!!」
 先輩の名前を叫んだのは反射的な行動だった。
 見て明らかな異常事態。その中で彼女――宿木都子だけが動揺もせず、普段どおりの、否、いつも以上に凛とした表情をしていたからだった。
 僕は背後のベッドで眠ったままの八九寺を背中に庇いながら、宿木先輩の横顔を見る。
 宿木先輩は、真っ直ぐに部屋の入り口のほうを見ていた。
 まるでそこに何かがいるかのような、力のこもった眼差しで。
 いや、きっと宿木先輩は何かを視ている。そこには何かがいる。
 どこにでもいて、どこにもいない何かが。
 ようやく思い出した。
 この空気、雰囲気は戦場ヶ原の時のものに似ている。
 忍野が彼女のために作った場。結界。そして神域、聖域。人ならざるものの領域。
 御神体。
 殺生石。
 狐憑き。
 ――――神。
 今対峙しているのは、あまりに純度の高い怪異だ。
 しかもこれまで経験してきたどれとも違う。明確な悪意が感じられる。
 しかしそれを前にしてなお、宿木先輩は気丈な態度を崩そうとはしていなかった。
「臆するなよ阿良々木暦!」
 僕の名前を呼び、一括する。
 声は大音響を裂くようにして耳に届いた。
 それはとても聞き慣れた音。
 異常な世界の中でも変わらないものは、不思議と僕の心を落ち着かせる。
 彼女の声と動きで鳴った髪留めの鈴は、それだけが異なる種類の音色をしていた。
「恐れるなよ。奴はこの部屋に入って来れん。全ての色を統一したこの場所は、入り込む余地を有さぬ結界だ。ここから出るか、こちらから招き入れない限りこの部屋の中は安全だよ。まさかお前をかくまう事になるとは夢にも思っていなかったがな」
 結界。
 しかし宿木先輩の部屋がファンシーすぎる桃色具合だった理由は説明された。
 そしてこの鈴の意味もまた、理解する。
 宿木先輩は鳥居の結界を自動的に発動する防衛装置――トラップだと言っていた。
 当然それは、御神体を盗んだりした人間を対象としたものだと僕は思っていた。
 けれど事実は違う。
 宿木都子には、予知にも近い占いの力がある。ならば外部からの侵入者の予見もまた容易のはず。しかしそんな力があるからこそ、最も警戒しなければならないのは内部からの崩壊だ。力の源、それ自体の勝手な動きこそ注意を払わねばならないものだった。
 そして僕の勘違い。
 これはむしろ経験、予備知識を持っていたが故の間違いだった。
 あの鳥居の結界は、中のものを外から守るためのものではなく、出て行くのを防ぐためのものでもなかった。
 結界は、中のものから外のものを守るためにあった。
 それは獣の檻と同じ、安全処置。
 檻であり、枷であり、縛鎖。
 狐、これは危険な怪異だ。
 死ぬ怪異でり、殺す怪異。
 ならばこの鈴は鼠が猫に付けたようなものなのか。
 宿木先輩が再度叫ぶ。
「たかが三日とはいえ、数百年の寝宿をよくもまあ這い回ってくれたものだよ。この老獪の化け狐が!」
「宿木先輩っ、何が起こってるんですかっ!」
「ハンッ。家の主がちょいと目を覚ましたってだけのことだよ阿良々木!」
「家の、主?」
「そうさ! 殺生石は後から置かれた依り代でしかない。そして私ら宿木の血筋もまた同じ。全ては始めに神ありきなのさっ!」
 宿木先輩の声に鋭さが増していく。
 それに比例するように鈴の音も増しているが、先輩の言葉はさらにそれを上回る。
 すさまじい音の洪水の中では、何もかもが歪んで映る。八九寺がこれでもまだ目覚めないのは、何かに中てられているのかもしれない。それはあの混沌していた古神社での神原駿河のように。
 宿木先輩は続ける。
「いいか。狐は山の神だ。神は人を守り里を守る。だが日本の神は、常に正負を併せ持つものでね。神は時に贄を欲したのさ。阿良々木もこの町の者なら聞いたことはあるだろう、この山で出る行方不明者の噂を」
「行方不明。あっ……」
 行方不明で、相手は神とくれば。
「そうか。神、隠し」
「然りさ」
 宿木先輩は嗤っていた。
 犬歯をむき出しにして、どこかにいる相手を威嚇しているように。
「そしてそんな神様を崇め、奉ることで鎮めていたのが私の一族だ。私らは宿木なのさ。宿木は大樹についてその力を抑制し、同時に吸収する。そうして何代もかけてやつの力を抑えてきた」
 大樹と宿木。
 抑制と吸収。
 以前、怪異の専門家である忍野も言っていた。
 怪異は条件がそろえばどこにでも顕れる。怪異は世界とつながっているから。
 ならば土地そのものが条件に合致していた場合、その土地に住まうものは怪異との付き合い方が歴史の一部となっていく。そして宿木都子という女性が、今この時代においてのそれであるように。
 生まれついての狐憑き。
 それは歴史によって定められた運命だった。
 ならばこの状況さえも、あるべくしてあったということか。
「どうやらキッカケはそこの美少女らしいな! その娘、ただの幽霊ではないだろう。父様がかけた再封印からたったの3年足らずというのは早すぎると思っていたが、まさかそんな上物の餌に目がくらんでの凶行だったとは。ハハッ! さすがは我が神はいい目をしている。喜べ阿良々木! 今日、ロリは神の領域まで達したぞ! いいな! やったぞ! 私はこの試練を乗り越えて、ロリ世界の神になる!」
「そんなノートは、どこにも……」
 いや、最後の方は聞かなかったことにしよう。
 事態の進行上、突っ込みを自粛する僕だった。
 うん。大人の対応だ。
「それより宿木先輩っ。この事態を乗り切るのは可能なんですかっ」
 それこそが今の大命題だった。
 まさしく命のかかった題目だ。
 そして答えを返す彼女の横顔はとても頼りになる自信にあふれていた。
 この顔は中学時代、何度も見てきたものだった。
 どんな問題を前にした時も屈しない、宿木都子の意思の現れ。
 もはや不安なことなどひとつもない。
 その顔のままで、胸を張って答える。
「もちろんだ! ちゃんとこんな時のために我が家には狐を封印するための仕掛けがある!」
「よしっ! それはどこにっ」
「応ともっ。父様から受け継いで以来、決して失くさぬように肌身離さず持ち歩いていたのさ。今もこうして懐にっ! …………懐に……あれ? ちゃんと懐に入れて……袖だったか。否、右の袖に…………パンツの………………」
 ペタペタと巫女服の全身を手探りしていた宿木先輩。全身くまなく触りつくして、ちょっと際どいところまで脱衣して脱いだ服をひっくり返して何も落ちてこないことを確認すると、再び服を着なおし、襟を正した。
 どうしてだかカラカラと鳴っていた髪留めの鈴が、とても空しいものに聞こえていた。
 嫌な、予感が。
「先、輩?」
「……………………………………」
 返ってきたのは、沈黙だった。
 鳴り響く鈴の音が遠く聞こえるほどの、重い静寂。
 そしてどこか遠くを見ていたようだった宿木先輩の瞳が、僕のほうへと帰ってくる。
 すごく嫌な予感がした。
 そして進行上の都合により、この手の予感は大抵当たる。迷惑にも!
 視線を混じり合わせて、宿木先輩は言った。
「さあ阿良々木! 共にこの窮地を乗り越えようぜ!」
「や、やっぱりですか――!!」

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COMMENT : 無題
そして送りました\(≡ω≡.)
針山 URL 2007-12-05(Wed)05:16:57
COMMENT : 無題
ちょ、早っ!?
何故皆さんそんな速攻に作れるのですか!?∑( ̄□ ̄;)
が、頑張ります><;
針山 URL 2007-12-05(Wed)04:07:50
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